酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
08年巨人「開幕5連敗→13.0差を大逆転V」、22年ホークス「開幕8連勝→M1からV逸」序盤戦・オープン戦成績が優勝に直結しない説はホントか
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2025/04/15 11:02

2008年の巨人は開幕5連敗を喫したものの、最終的にはセ・リーグ優勝を果たした
【優勝チームの開幕カードの勝敗】
〈セ・リーグ〉
134勝84敗7分 率.615
〈パ・リーグ〉
139勝79敗7分 率.638
【開幕から10試合目までの勝敗】
〈セ・リーグ〉
442勝280敗28分 率.612
〈パ・リーグ〉
436勝297敗17分 率.595
勝ち越してはいるが、ダントツの数字というわけではない。そもそもペナントレースの優勝チームの勝率が6割そこそこだから、大きく勝ち越さなくてもいいわけだ。
開幕8連勝でV逸、6連敗から優勝した例も
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続いては、シーズン開幕でスタートダッシュに成功したケースを見ていこう。
開幕からの連勝記録は1954年西鉄と、1999年中日の「11連勝」。続いて1955年の南海が10連勝、3チームとも優勝している。
さらに8連勝のチームが1989年オリックス、1991年西武、2018年西武、2022年ソフトバンクと4つあるが、オリックスとソフトバンクは2位に終わった。記憶に新しいのは3年前のソフトバンク。残り2試合時点でM1としながら連敗し、逆転でオリックスに連覇を許す悪夢となった。
また1963年の巨人は開幕戦で負けてから13連勝、2017年の広島も開幕戦で負けてから引き分け1を含み10連勝。両チームとも優勝している。
一方、優勝チームの開幕からの連敗記録は1960年、大洋の「6」。このシーズンは中盤まで圧倒的に強かった中日が後半に失速する中、前半は下位に低迷していた大洋が急浮上してペナントをさらった。監督はこの年、西鉄ライオンズから移籍した三原脩。「三原マジック」と世間は騒いだ。
これに続いて2008年の巨人が5連敗からペナントを獲得している。この年は阪神が8月1日には貯金28と独走状態になり、関西は前祝いで大いに沸いたが、最大13.0ゲーム引き離された巨人が反転攻勢し10月に入って追い抜き「メークレジェンド」と言われた。
開幕から4連敗して優勝したのが1957年の西鉄、1958年の巨人、1979年の広島の3チームだ。1957年の西鉄は4連敗のあと9連勝している。
1場所15番しか取らない大相撲なら、横綱が序盤に連敗すれば「黄信号、赤信号」とメディアが騒ぎ立てるが、プロ野球は143試合の長丁場。スタートダッシュに失敗してもあきらめるには早すぎる。
オリックスがスタートダッシュに成功しているが…
今季、最新の順位表を見ていこう(4月13日終了時点)。
□セ・リーグ
広島14試8勝5敗1分率.615
阪神13試6勝6敗1分率.500
DeNA12試5勝5敗2分率.500
ヤクルト11試5勝5敗1分率.500
巨人14試6勝7敗1分率.462
中日14試5勝7敗2分率.417
1位と6位の差は2.5ゲームであり、団子レース。まだ何とも予測できないだろう。開幕直後から快調な滑り出しを見せているチームがあるのは、むしろパ・リーグの方か。