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「結構勇気がいる指名だったんじゃないかな」ドラフト最下位でも…DeNA梶原昂希&山本祐大が語る下克上「ドラフト全選手のなかで一番稼いでやる」

posted2025/04/15 17:01

 
「結構勇気がいる指名だったんじゃないかな」ドラフト最下位でも…DeNA梶原昂希&山本祐大が語る下克上「ドラフト全選手のなかで一番稼いでやる」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki / Takuya Sugiyama

プロ8年目の捕手・山本祐大(左)と4年目の外野手・梶原昂希

text by

佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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Nanae Suzuki / Takuya Sugiyama

 ロマンあふれるパワーヒッターと、強肩を武器にエースを支える扇の要。梶原昂希と山本祐大は、ドラフト最下位指名ながら、なぜ主力メンバーの一員になれたのか。下剋上の裏には胸に秘めた野望と、フロントの巧みなスカウト戦略が存在した。
 発売中のNumber1117号に掲載の《[ドラフト下位からの逆襲]梶原昂希&山本祐大「僕はこうして這い上がる」》より内容を一部抜粋してお届けします。

支配下としてチーム最下位の指名

 2021年10月11日。梶原昂希は、モニターに瞳を凝らして自身の運命を見定めていた。時はコロナ禍。がらんとした教室には、詰めかけた報道陣も、野球部の仲間たちの姿もない。

 1位指名を巡る抽選が終わると、2位以降はウェーバー方式で粛々と指名が進んでいく。1時間半くらい経過しただろうか。

「梶原昂希 外野手 神奈川大学」

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 その名が呼ばれたのは横浜DeNAベイスターズの6巡目。支配下としてはチーム最下位での指名だった。

「受験の合格発表みたいな心境でした。嬉しいというより、安心したという思いが強かった。プロに引っかかった、って……」

 身長189cmの体躯にパワーとスピードを搭載した左打者は、“素材型”の魅力的な選手だった。大学の時点で打球速度は160kmを超え、持ち味のフルスイングから柳田悠岐(ソフトバンク)に準えて「神奈川のギータ」と呼ばれたこともあった。

 しかし、高い能力の一方で“粗さ”もあった。三振か、ホームランか。細かい打撃技術は未熟で、守備や走塁にもまだ穴があった。梶原の自己評価はこうだ。

「調子の波も激しいし、良いところもあるけれど穴もでっかい。スカウトさんにとっては結構勇気がいる指名だったんじゃないかな、って自分でも思います(笑)」

ベイスターズの賭け

 他球団のスカウトも注目していた好素材が6位まで残っていたのは、その“粗さ”をどう判断するか迷ったからだろう。まさに、三振か、ホームランか。ベイスターズは“ホームラン”に賭けたのだ。

 最下位指名からの船出を、梶原自身は前向きに捉えていた。

「順位自体は、そこまで気にしていませんでした。逆に自分に都合良く考えて、一番下なんだから、みんなより下手で当たり前。ダメ元だ、くらいの気持ちでいましたね」

 ただ、その胸には密かな野望もあった。

「6人の中で一番稼いでやろう、と思っていました。入った段階で他の選手とは年俸にも違いがありました。最初は最下位でも最後に自分が一番稼いでやるぞ、って」

【次ページ】 「ドラフト全選手のなかで一番稼いでやる」

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