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サムライブルーの原材料BACK NUMBER
W杯メンバー発表直後にアキレス腱断裂…中山雄太(28歳)がいま明かす日本代表への思い「ドレッシングルームで次のW杯のことを考えました」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byShigeki Yamamoto
posted2025/04/12 17:01

J1で首位に立つFC町田ゼルビアを牽引する日本代表の中山雄太(28歳)が語るW杯への思いとは
現状の日本代表において序列が高くないことはもちろん理解している。欧州組がメンバーのほとんどを占めるなか、欧州から離れ、ケガを繰り返してきた自分が向かい風に立たされていることも分かっている。だからと言って目指さない理由は、これっぽっちもない。生みの苦しみを切り抜けて、進化に辿りつくだけ。そこにちょうど北中米ワールドカップがタイミング的に重なるのだ。
「(カタールで)行けそうで行けなかった境遇があって、見えそうだったものが見えなくなると、うまく言語化できませんが(ワールドカップが自分のなかで)違うものになっているという感覚はあります。でもサッカー選手である以上、全力で目指していくことに変わりはありません。行くと思ってやっていると、その準備も違ってくると思いますから。自分としてはただただ毎日一生懸命に取り組んで、準備していくだけ」
アキレス腱断裂によって直前に自分の手からスルリとこぼれ落ちたカタールワールドカップ。すぐさま26年の北中米ワールドカップに気持ちを切り替え、ケガを繰り返しながらも「新しい中山雄太」を目指してやってきた。クラブでの活躍が日本代表復帰につながると信じ、このインタビューの後、ワールドカップ本大会出場を決めた3月シリーズでは追加招集で呼ばれている。出場機会は得られなかったとはいえ、彼のなかで大きな一歩であったことは間違いない。
チームが優勝してこそ
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明確な進化を示すには、目に見えるもの、すなわちJ1のタイトルが必要だと捉えている。
13日、東京・国立競技場では浦和レッズを迎える。混戦の首位争いから頭一つ抜け出していくためにも勝利が求められる一戦になる。
「海外ではチームの状態が良くなくても、選手が這い上がってステップアップしていけばいいというような環境でやってきました。でも年齢や(町田での)役割を考えたときに、自分だけじゃなくチームを引き上げていくことができていないと自分にも返ってこない。そこにアプローチしているし、チームが優勝してこそという思いがあります」
あのケガがあったからこそ、北中米ワールドカップの舞台に立つ中山雄太がいる――。ミラクルは信じた者だけに起こるはずである。
<前編から続く>
