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W杯メンバー発表直後にアキレス腱断裂…中山雄太(28歳)がいま明かす日本代表への思い「ドレッシングルームで次のW杯のことを考えました」 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2025/04/12 17:01

W杯メンバー発表直後にアキレス腱断裂…中山雄太(28歳)がいま明かす日本代表への思い「ドレッシングルームで次のW杯のことを考えました」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

J1で首位に立つFC町田ゼルビアを牽引する日本代表の中山雄太(28歳)が語るW杯への思いとは

 目標がはっきりあるから、立ち止まることもない。

 食事を変え、肉体改革にも一心不乱に取り組んだ。脳神経学の本など、読書にも時間を割いた。肉体的、精神的に己と向き合い、充実した時間にした自負があった。翌2023~24シーズンに合わせて復帰し、スタメンを取り戻している。23年10月、11カ月ぶりに日本代表に戻るとゴツくなった体に、チームメイトからも驚かれたほどだ。

 だが、苦難のストーリーにはまだ続きがあった。

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 2024年1月のアジアカップを終え、ハダーズフィールドでチャンピオンシップ残留に向けて奮闘しながらも3月のリーズ戦で左膝を負傷してしまう。内側側副靭帯損傷で残りのシーズンは欠場に。結局チームは3部降格となり、退団した中山は欧州を離れて昨夏、Jリーグ復帰を決断する。ただ町田デビューから1カ月後に、今度は右膝内側側副靭帯損傷で離脱。立て続けにケガに見舞われてしまう。

 それでも落ち込むことはなく、ケガの連鎖の意味をずっと考える彼がいた。

「アキレス腱のケガから復帰するうえでテーマに置いたのが“新しい中山雄太で帰ってくる”でした。食事をガラッと変えるなどして今があるなかで、(左膝も右膝も)新しいケガというよりアキレス腱のケガの延長線上にあって、まだ進化の過程に起こっている感覚なんです。これだけケガを繰り返すと“またか”と一瞬思っても、悲観的にはまったくならなかった。進化において、まだまだ足りないんだなってそういう感覚。そこを見つめてきて、しっかりと今年のキャンプから立ち上げて、凄くコンディションも良くなってきているなと感じているんです」

 新しい自分が、ようやく己の視界に映りつつある。今季はここまで第9節を終えてすべてフル出場を果たしており、首位に立つチームを攻守にわたってけん引している。

北中米W杯を全力で目指していく

 今、日本代表は左に三笘薫、中村敬斗、右に堂安律、伊東純也らアタッカーがウイングバックに入る「攻撃的3バック」をシステムの中心に置き、アジア最終予選を断トツで勝ち抜いた。中山は町田でそのポジションを務めるだけでなく、ストッパーや4バックのサイドバックなどポリバレント性を発揮できる強みもある。

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