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「前田健太は終わってしまうのか」メジャー10年目で近づく栄誉「現役最後は日本で?」“正念場”右腕が胸に秘める決意「結果を出すしか…」 

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山田結軌

山田結軌Yuki Yamada

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posted2025/04/04 06:00

「前田健太は終わってしまうのか」メジャー10年目で近づく栄誉「現役最後は日本で?」“正念場”右腕が胸に秘める決意「結果を出すしか…」<Number Web> photograph by Getty Images

正念場のメジャー10年目を迎えた前田健太

 前田には先発への強いこだわりがある。早い段階での先発復帰を狙いたい。しかし、タイガースは先発ローテーション投手が5人、きっちりと決まっている。

 昨季18勝4敗、防御率2.39でア・リーグのサイ・ヤング賞左腕、タリク・スクーバル(28)、2番手にはジャック・フラハティ(29)。同13勝7敗、3.17で7月末からはドジャースにトレード移籍してワールドシリーズ制覇に貢献し、今季再びタイガースに復帰した。3番手には25歳速球派右腕のリース・オルソン。4番手には、2018年のドラフトで全体1巡目1位のケーシー・マイズ(27)、5番手には若手の超有望株で2021年の1巡目3位、ジャクソン・ジョーブ(22)がそろう。

契約に見える「先発」の期待

 ただ、タイガースとしてもこの5人全員が故障せず、問題なくシーズンを完走できるとは想定していない。だからこそ、チームも離脱者が出た場合には、前田の経験値や先発投手としての能力を頼りにしている。2年2400万ドルの契約はフリーエージェント(FA)の先発投手に支払う相場で、先発4、5番手のFA投手は、最低1200~1300万ドルが年俸交渉のスタートライン。本来は先発投手として起用することを前提とした内容なのだ。

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 メジャー10年目で、開幕からリリーフ投手の役割を任されるのは初めて。仮に前田が先発を希望しようと役割を決めるのは、チームであり、A.J.ヒンチ監督だ。前田は主に先発として2016年から9シーズン、ドジャースとツインズで6度のプレーオフ出場に貢献した実績がある。同時に選手の入れ替わりの激しさも目の当たりにしてきた。メジャーで生き抜く厳しさも痛感している。

サービスタイム10年の栄誉

 日本選手でメジャー実働(サービスタイム)10シーズン以上をクリアしたのは、野茂英雄、イチロー、ダルビッシュ有の3人のみ。メジャー・サービスタイム10年を満たすと62歳から毎年27万5000ドル(約4120万円)の年金が満額支給される。その福利だけではなく、メジャーのOBや現役選手たちから大きなリスペクトを受ける栄誉あるステータスである。10年を迎えた選手は、球団で祝い、クラブハウスでは監督らがスピーチ。祝福される当該選手は、感極まって涙を流すこともあるという。それほど、サービスタイム10年をクリアすることは、難しく尊い。

 その節目まで、マエケンはあと1年に迫っている。キャリアの大部分を先発投手として過ごしてきた前田の能力はそれだけ高く、評価されてきた、ということだ。ちなみにメジャーサービスタイムは、アクティブロースター(一軍の試合に出場できるベンチ入りメンバー)の26人枠の登録が172日間で1シーズンに換算される。米球界で10年以上を過ごした日本選手は、上記の3人以外にもいるが、メジャー・サービスタイムの10年は、前田がクリアして、ようやく4人目だ。

【次ページ】 現役最後は日本で…の思いも

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