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「批判というより、戦術面の弱点だ」トルシエが日本代表生観戦で不安を抱いた停滞「クボとナカムラ頼りでCKも…プラスアルファが必要だ」
text by

田村修一Shuichi Tamura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/03/31 17:00

サウジアラビアの守備網に監視される久保建英。元日本代表監督トルシエの目にこの一戦はどう映ったか
「それに対して日本は、ボールをコントロールしながらゴールに繋がる小さなスペースを見出そうとした。だが日本は、この種の試合で勝利を得るための多くの要素を欠いた。とりわけサウジ戦や先日のバーレーン戦のように、守備を強化した相手と相対したときにイマジネーションを欠き、戦術的にも相手ディフェンスをコントロールできないのは日本の弱点だ。守備に穴を開けようとした唯一の戦術は個人のアクション――左サイドの中村敬斗と右サイドの久保建英という個の力によるサイド攻撃頼りだった。
2試合を見て感じたのは、そうした戦術面の弱さだ。とりわけアタッキングサードに入ってからのコンビネーションが不十分だった。特に相手ゴール前30mでの欠如だ。久保や中村、伊東純也、堂安律……。日本はドリブルでサイドを活用しただけで、ゴール前30mでのコンビネーションがまったく足りなかった」
ナカムラやクボ、イトウがいたのだから
――たしかに工夫が足りませんでした。
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「守りを固める相手に対しては、ロングボールをアタッカーに供給して守備ラインを揺さぶることも必要だ。セカンドボールを回収して攻撃を展開する。それを行うには前田大然は小さすぎたが、サウジのような相手には別のやり方で、ブロックに綻びを生じさせて攻めることも考えねばならない。だが昨日の日本は、サウジのブロックを崩せずにサイドから仕掛けただけだった。セカンドボールを奪って展開するための中盤と前線のサポートが欠けていた。
守備ブロックを崩すにはサイドチェンジも有効だ。右サイドでプレーしていたとき、逆サイドの中村はフリーになっていた。だがそこで変化を加えることなしに、ただ久保のスピードを利用してサイドの突破を図っただけだった。左に中村、右には久保や伊東がいたのだから、サイドチェンジをもっと頻繁におこなうべきだった」
連係もアイディアも足りない“残り30mとCK”
――守りを固めた相手に対して、同じ攻撃を何度も繰り返して綻びを生じさせるのは、森保一監督の戦略ではあります。