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「開幕投手もスタメンも決まってない」変革を決意したカープ・新井監督3季目のキャンプで、熾烈な競争を勝ち抜く若手は誰?《プロ野球キャンプイン》
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前原淳Jun Maehara
photograph byJIJI PRESS
posted2025/02/01 11:00

昨季の最終戦を終え、マツダスタジアムでファンに強い決意を語った新井監督
一方、昨季最終戦で一軍デビューし、初安打をマークした高卒3年目の内田湘大は、春季キャンプで初の一軍スタートに鼻息を荒くする。
「オープン戦でしっかり結果を残して、開幕戦一軍を目指していかなきゃいけない」
同じ試合で球団史上初めて高卒新人として4番起用された仲田侑仁も、新井監督の言葉に気持ちを高ぶらせている。
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「高卒だから時間があると思わずに、もう今年が勝負だと思ってやるつもりです」
今年の春季キャンプはメンバー構成と日程上、一、二軍の入れ替えは例年ほど多くなさそうだ。これから1カ月は若手を中心とした争いが続いていく。
1月23日には一軍から三軍までの全スタッフがマツダスタジアムに集まり、ミーティングを行なった。直後のテレビ代表インタビュー、そして記者の囲み取材で、新井監督は「競争」という言葉を11回も使った。
「(開幕メンバーは)ぜんぜん決まっていない。開幕投手も決まってないし、スタメンももちろん決まってない。動きを見ながらになってくる。若手のチャンスは増えると思うので、しっかりアピールしてもらいたい」
競争が激しい投手陣
九里亜蓮がFAでオリックスに移籍したことで、先発は1枠空いた。床田寛樹と森下暢仁の新2枚看板に、大黒柱の大瀬良大地をあわせた3本柱はローテ入りが確定。残る3枠を若手が奪い合うことになる。昨季6勝のアドゥワ誠に4勝の玉村昇悟、さらに森翔平や常広羽也斗、そしてドラフト2位のルーキー・佐藤柳之介(富士大)らが争う。
層が厚くなったリリーフ陣は競争が激しい。昨年10月に右肘クリーニング手術を行った栗林良吏が開幕に間に合うめどが立った。昨季の勝ちパターンを担った2年目のテイラー・ハーンと島内颯太郎に加え、黒原拓未や塹江敦哉、森浦大輔といった左腕もいる。新外国人のジョハン・ドミンゲスも先発より中継ぎに適性があるようにみえる。
野手も白紙とはいえ、一定の序列はある。侍ジャパンに定着しつつある坂倉将吾と小園海斗が、今季の打線の軸となるのは間違いない。昨季の急失速の要因でもある得点力不足解消のため、サンドロ・ファビアン、エレフリス・モンテロの両外国人野手もアクシデントがない限り開幕スタメンに名を連ねるだろう。そこにベテラン勢で昨季レギュラーの座を守った秋山と菊池が加わり、球際の強さと強肩を兼ね備えた高い守備力で遊撃の一番手となった矢野雅哉の名前も挙がってくる。
指を折れば残されたポジションは限られるが、あくまで現時点での序列に過ぎない。スタートラインで後列にいたとしても、チャンスはある。これからの1カ月で成長を示し、実戦で結果を残し続ければ、開幕スタメンの可能性は「当然ある」と新井監督は明言している。若手が首脳陣に「我慢してでも使い続けてみたい」と思わせることができれば、ブレークスルーへのチャンスを得られるはずだ。
