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「米球界でも差別は感じることはありますが」28歳女性コーチが沖縄でトライアウト選手の涙にもらい泣き…初来日で感じた「人生が変わるきっかけ」
posted2025/02/05 06:00

マイナーリーグでのコーチ経験もあるサラさん。日本野球の印象は?
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広尾晃Kou Hiroo
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Kou Hiroo
2024年に3年目を迎えたジャパンウィンターリーグ(JWL)には、NPB球団から選手が派遣された。TOYOTA、Honda、パナソニックなど社会人も選手を派遣。さらに台湾プロ野球(CPBL)や、韓国プロ野球(KBO)、さらには中国のU23代表チームも派遣された。
それだけでなく、世界中から野球をする若者が集まった。その数14カ国・地域で143人。
レベルアップもさることながら、ダイバーシティ(多様性)のレベルもすごくアップしたという印象だった。
フィリーズ傘下のチームのコーチも務めたサラさん
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開幕戦のベンチで、タイムリーを打った選手を、笑顔で迎える長身の白人女性がいた。ユニフォームを着ているから、通訳ではないようだ。世界中の野球リーグに人材を派遣するベースボールジョブズオーバーシーズの公式サイトは、こんな発表をした。
「マイナーリーグ打撃コーチ、チームUSA代表選手のサラ・エドワーズは、日本とメキシコのウィンターリーグと契約をした」
28歳の彼女は、JWLにゲームコーディネーター(監督に相当する仕事)としてやってきた。JWL開催中、試合がない休養日にサラは室内練習場で打撃練習のサポートをしていた。一区切りついたところで話を聞いた。
「7歳の時からソフトボールを始めて、大学生のときはNCAA のDivision I(バッファロー大学、ホフストラ大学)でプレーしました。その後は、海外で野球をして、2023年にフィラデルフィア・フィリーズのマイナーでデベロップメントコーチに就任。フロリダのトレーニング施設で選手の指導をしていました」
サラは左投げ左打ちの一塁手、外野手。捕手の経験もある。出塁率の高い打者として知られ「クラッチ(勝負強い打者)」と呼ばれていたという。フィリーズのコーチには、どんな経緯で就任したのだろうか。その辺りも聞いていこう。
「リンクトイン(リクルートに特化したSNS)に、フィリーズの方から連絡があって、まずデータアナリストの話をされました。でも選手とコミュニケーションをしたいと希望して、コーチをすることになりました」
メジャーリーガーがやってきたときなども…
――日本の野球界でも少しずつ女性が現場に進出しつつあるが、野球はアメリカでも「男の世界」だと思うが、そこでの仕事はどうだったんでしょうか?