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「今はエースだけでメンバーが揃うけど…」青学大“箱根駅伝4連覇”のウラにあった“叩き上げ組の底力”秘話「原晋監督もそれを見越して…」 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph by(L)JIJI PRESS、(R)本人提供

posted2025/01/21 11:03

「今はエースだけでメンバーが揃うけど…」青学大“箱根駅伝4連覇”のウラにあった“叩き上げ組の底力”秘話「原晋監督もそれを見越して…」<Number Web> photograph by (L)JIJI PRESS、(R)本人提供

二軍生活を経験した池田生成さん(左)や田村健人さんといった「叩き上げ」組の突き上げが青学大の4連覇達成と常勝軍団への礎を築いた

「流れというか、系譜は確実にありました。本当のところは分かりませんが、原(晋)監督もそういうのを見越している気がします。9区は単独で走らないといけないケースが多いですし、実は23.1kmと一番長い距離を走る区間でもあります。

 だから、自分とも戦えないといけません。私の時は(8区までに大きなリードがあり)ゆとりがありましたが、優勝争いにおいても一番シビアなところでもあります。だから、ある程度メンタル的に頼れる人間を育成しようというのはあったかもしれません」

 言われてみれば、一軍以上に自律することが求められる二軍寮の境遇は、単独走になりがちな復路の9区とも共通項がある。池田さんの想像はあながち間違ってはいないかもしれない。

「青学じゃないと強くなれていなかった」

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「私はたぶん青学じゃないと強くなれていなかったと思うんです」

 池田さんはそう振り返る。

「高校時代もそうですけど、私はもともとエース級の選手ではなくて、かといってスピードがあるわけでもない。新しい武器を作らないとチームに残っていけない人間でした。青山学院はああ見えて泥臭い練習が多いんです。泥臭い練習とは何ぞや……それを教えてくれる環境がありました」

 池田さんが入学した当時の青学大は、箱根駅伝の常連校として復活を果たしていたものの、まだ強豪校と呼ばれる前夜だ。それでも、チームには「絶対に優勝するぞ」という空気が漂っており、その機運は高まっていた。

「チームとして上昇気流に乗っていたから、みんなの“這い上がる”精神がすごかった。2年生の時はまだ1回も勝ったことがないのに、『今年は絶対に優勝するぞ』という意気込みが強かったですから。そういった意気込みと環境、練習、監督の思いが噛み合って優勝するチームになったし、私も箱根駅伝を走れるまで強くさせてもらいました。最初から強い選手ばかりの大学や、逆にそこまで強い選手がいない大学に行っていたら、私は埋もれて終わっていたと思います」

【次ページ】 「ほとんどが“這い上がり”組」だった青学大

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