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「怒られますから、簡単にやられると」ドイツで5季主力の土台に…青森山田OB室屋成が見た“恩師”黒田剛の素顔「町田を見て懐かしいなと」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph bypicture alliance/Getty Images,Kiichi Matsumoto
posted2025/01/15 17:03
ドイツで長年戦う室屋成。青森山田時代の恩師、黒田剛監督のスタイルについて興味深い表現をしている
高校時代にセットプレーの強さを身につけられた要因は、ディテールまで突き詰める指導と、その練習にかける時間の長さだったと室屋は考えている。
「自分たちの攻撃のセットプレーでのトリックプレーの練習とかはメチャクチャ記憶がありますね。細かさや厳しさもありますけど、かなりの時間をかけてやっていたのは間違いないですね」
まずは戦術ボードを使って、黒田監督から丁寧な説明がある。それを頭に入れてから、グラウンドでの練習に移る。
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「本当に細かいところまで指摘されました。前の試合でしっかりできていなかったところなどは、翌週の練習で何度も繰り返させられましたし。あと、例えばコーナーキックの守備の練習で、少しでもマークを空けようものなら『なぜ、マークにつけていないんだ!』と指摘されていましたね。僕は町田の試合映像は少ししか見たことないんですけど、高校時代と通じるところはあるなという気もしました」
僕らの頃、ロングスロー練習は…
ただ、2010年から2013年まで室屋が在学したときには習っていなかったものが、1つある。
「僕らがいたときにはロングスローの練習などは、ほとんどしたことがなかったです。もし、高校時代にそういう練習をしていれば、今の自分の武器になっていたかもしれないですけど(笑)」
組織づくりの面でも、勝利をたぐりよせる方法論やセットプレーの練習でも、黒田が高校時代に求めていたことと、町田で取り組んでいることとが大きく違うわけではないと感じている。
むしろ、違うステージへ移ったのに、求めることが大きく変わらないところに、黒田のチーム作りの本質があるのではないかと室屋は考えている。
「黒田監督の求めることがブレないということが、大きいのでしょうね。どれだけ良い結果が出た時でも、試合で負けた後でも、大切にしていることは毎回、必ず、言われるんですよ。だからこそ、それがチームとしては当たり前のことになり、どんなときでも実行できる組織になっていったのかなと個人的には感じます」
黒田さんの求めることは、ちょっとドイツっぽい
室屋が高校時代に一人の人間として得た財産としては、生活の全てをささげられる目標があったこと。それは第2回で紹介したとおりだ。一方で、黒田の教えはドイツで戦う上での財産になっているのかもしれないと室屋は考えている。