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「怒られますから、簡単にやられると」ドイツで5季主力の土台に…青森山田OB室屋成が見た“恩師”黒田剛の素顔「町田を見て懐かしいなと」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph bypicture alliance/Getty Images,Kiichi Matsumoto
posted2025/01/15 17:03
ドイツで長年戦う室屋成。青森山田時代の恩師、黒田剛監督のスタイルについて興味深い表現をしている
「黒田さんの求める、球際の競り合いやセカンドボールに対するこだわり、ボールを前に速く運ぶようなプレー。あと、セットプレーを大事にするところなどは、ちょっとドイツっぽいなと感じるんですよね」
ドイツではそうしたものがベースにあって初めて、サッカー選手として評価される。例えば、「ツバイカンプフ」と呼ばれる1対1の局面での勝負をドイツでは大切にする。だから、相手に抜かれたとしたら、戦術的なファールを巧みに利用して止めなければ、その選手はミーティングで厳しく叱責される。
「やはり、簡単にやられてしまうと『なぜ、そこでつぶしきれないんだ』と怒られたりしますからね」
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2020年夏にハノーファーに移籍してからの室屋のリーグ戦における出場試合数と出場試合率は以下の通りだ。
2020-21シーズン:(全34試合中)32試合出場、94%
2021-22シーズン:27試合、79%
2022-23シーズン:31試合、91%
2023-24シーズン:25試合、74%
2024-25シーズン:17試合、100%
負傷に苦しんだ2021-22シーズンや、2023-24シーズンでも欠場数は1ケタに収まっている。5季にわたって、出場機会を得られずに大きく悩まされたことがないのだ。
高校当時から…今の自分に繋がっている
過去4シーズンでは暫定監督を含めて、4人が監督を務めており、採用されるシステムが4バックの時も3バックの時もあった。ただ、いずれの指揮官からも、サイドの上下動を繰り返し、激しく戦う室屋のプレーは求められてきた。それも、ドイツで求められるような資質を当たり前に備えていたからだろう。
「自分がそういうのを比較的当たり前にできているのは、高校当時からしっかり求められていたからかもしれないですね。そうやってサッカーの基本的な部分を教えてもらってきたから、今の自分に繋がっている部分はあると思っています」
若者が成長していくために欠かせない夢も、プロサッカー選手として高いレベルで生き残っていくための能力も、青森山田に進んだことで室屋は手にすることができた。そして、そんな高校に進むためのきっかけを作ってくれたのが――室屋にとっては、憧れを抱かせてくれる冬の全国高校サッカー選手権だったのだ。
<第1回「青森山田との出会い」編、第2回「“柴崎岳先輩”への感謝」編からつづく>