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「怒られますから、簡単にやられると」ドイツで5季主力の土台に…青森山田OB室屋成が見た“恩師”黒田剛の素顔「町田を見て懐かしいなと」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph bypicture alliance/Getty Images,Kiichi Matsumoto
posted2025/01/15 17:03
ドイツで長年戦う室屋成。青森山田時代の恩師、黒田剛監督のスタイルについて興味深い表現をしている
「規律をもって、組織として泥臭く戦う形はありますよね。それを徹底させる手腕は当時からすごかったです。組織としてどう戦うかについて、いつも口にしてそれをチームに植え付けていましたから」
もっとも、ピッチの上では厳しく指導されていたものの、ピッチを離れたところでは、黒田が厳しかった記憶はない。むしろ、ピッチ外では優しい素顔が印象に残っている。だから、卒業後に黒田と会う機会は何度もあったが、怖いイメージをもって接することはなかった。
寮生活にしても門限は設定されているし、先輩と後輩の間にははっきりとした上下関係は存在したものの、自由時間もあった。例えば、2019年のアジアカップの期間中、「試合前にどのような音楽を聴くのか」を尋ねられた南野拓実が「(室屋)成が詳しいので、彼が選んだ曲を聴いています」と答えていたが、高校時代から好きな音楽を聴くのも何ら支障はなかった。
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「昔から音楽が好きなんですけど、寮でも暇な時間に聴いていましたからね。そういうのもあって、少しは詳しいのかもしれませんね」
青森山田の練習で驚いた2つのこと
そんな室屋にとって、青森山田の練習で驚いたことが2つあった。
1つが練習のテーマだ。
「チームとしてどのように守備をするかを鍛える戦術練習などは、中学までやったことがなかったんです。そういう練習は基本的には全て、高校になってからが初めて。そういう練習を通して、組織的にどうやって動けばいいのかを教わりました」
その意味で、室屋にとって守備戦術面の基礎はこの時代に作られたといっても過言ではない。
もう1つ驚いたのが、用意されたトレーニング環境だった。
「それまでは、身体づくりなどはやったことがなかったんです。中学時代にジムへ行って重いものを持つことも、筋トレをすることもありませんでした。青森山田にはそれをやるための環境が整っていたし、そういうところも重視していたんでしょうね。僕が高校からサイドのプレーヤーになったのも、自分の身体能力を買ってもらえたところが大きかったのかもしれません。実際、練習では走るメニューも多かったですけど、僕も体力はあったので、そういうところで多少は目立てたりしましたから」
町田は少ししか見たことないが…通じるところが
当時の青森山田と昨季の町田に共通するのは、セットプレーでの抜群の強さだ。