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「怒られますから、簡単にやられると」ドイツで5季主力の土台に…青森山田OB室屋成が見た“恩師”黒田剛の素顔「町田を見て懐かしいなと」
posted2025/01/15 17:03
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
picture alliance/Getty Images,Kiichi Matsumoto
あぁ、高校時代と根本は変わっていないな
2024年11月末、配信された町田ゼルビアのドキュメンタリーが、YouTubeのオススメ動画として表示された。何気なくそれをクリックした室屋成は、ドキュメンタリー映像の一部が紹介されているその動画を見ながら、懐かしさを覚えていた。
「『あぁ、高校時代と言っていることの根本は変わっていないな』と感じました。組織として規律をもって動いていくこととか、相手に1歩でも早く寄せるというよくな小さなことが最終的に大きな違いを生むという話はよくされました。細かい部分についても、求められている本質は当時と同じで懐かしいなと思いながら見ました」
現在はドイツのハノーファーでプレーしている室屋は、青森山田高校時代の恩師である黒田剛が町田を率いてJリーグで旋風を巻き起こしているのはもちろん知っていた。ただ、Jリーグの監督として話す様子を目にする機会はあまりなかった。あの動画では黒田がロッカールームなどで行なうスピーチの上手さが一部で話題になったが、そういう意見が出るのもわかる気がした。
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「どんなタイミングで、どういう言葉をかけるかという話術の上手さがあるんじゃないですかね。あと、監督は常に『組織としてどうあるべきか』を話すんですよ」
高校時代は多感な時期だから、特定の選手だけが叱られなかったりすれば、ふてくされてしまう子も出てくるかもしれない。だが、黒田は特定の選手を持ち上げるようなことはない。そういう意味で、部員たちにも受け入れやすい指導法だった。
「組織を大事にするから、誰に対しても平等に接してくれていた印象が強かったです。実際、『スーパースターはいらない』というような話もよくしていましたし。『チームのことを考えて行動しろ』といつも言われていると、いつのまにか、チームのために戦うことや走り続けることも当たり前にやれるようになっていくんですよね」
ピッチ外で、黒田監督は優しかった
そう振り返る室屋は、黒田が率いる町田の試合をつぶさに見てきたわけではない。
「町田のサッカーをよく見ているわけではないので、偉そうには言えないですけど」
こう前置きしつつ、J1昇格初年度、かなりの選手が入れ替わった中で優勝争いにまで絡んだのは、そういう指導の影響もあるのでは――と感じた。