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「はてなマークが少し…」連続MVPに芸術ミドル弾、絶好調なのにリーズ田中碧の自己評価が意外すぎ「まず80点を目指して75点」〈インタビュー〉
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGeorge Wood/Getty Images
posted2025/01/18 11:00
リーズ移籍後、活躍が目立つ田中碧に現在の率直な心境を包み隠さず語ってもらった
「練習のクオリティって、(CL常連のような)ビッグクラブを除けば、実際に入って一緒にやってみなければわからないものだと思うんですよ」
ただ――靴ひもを結び、スパイクでボールを蹴っていく中で、不安は喜びに変わった。
「練習のレベル高かったので、すごく嬉しかったんですよね! 『あぁ、来てよかったな』と思えて」
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胸を弾ませた理由については、こう説明する。
「一緒にやる選手と呼吸が合えば、自分の特長も出しやすい。逆に、チームの選手たちの能力が高かったとしても、自分に合ってなかったら、やはり難しいことは多いだろうし。自分のやりたいことと、周りの選手のやりたいことが合っていたのがすごく大きかったかなと思います。そういう感覚って、海外に来てから初めてのものだったので」
フロンターレ門下生だからこそ感じた“やりやすさ”
ドイツ人監督のダニエル・ファルケは、ドルトムントのセカンドチームを率いたのち、当時イングランド・チャンピオンシップで戦っていたノリッジをプレミアリーグへ昇格させた指揮官だ。2022−23シーズンにはボルシアMGの監督を務め、教え子には板倉滉がいる。そしてリーズを率いることになった2023-24シーズンは3位になったものの、昇格プレーオフ決勝で敗れて、1部昇格の切符を逃した。だから、今シーズンは目標達成に並々ならぬ意欲を見せている。
彼はボールを大事にする指揮官でもある。例えば、ボルシアMG時代は勝ち点ではリーグ10位ながら、支配率は4位だった。首位を走る今シーズンのボール支配率はリーグトップだ。
イングランドだけではなくドイツのトップカテゴリーでも指揮をとった智将を招聘したのは、リーズが本気で昇格を目指しているからに他ならない。
「ここにいる選手の能力は(ブンデス2部と比べて)一回りも二回りも違うのは間違いないです。そもそも、監督のサッカーに合わせた選手が来ているので、間でボールを受けたり、細かいことができる選手が必然的に多くなっているのだと思います」
そういう事情が、川崎フロンターレ門下生――周囲とのコンビネーションを能力値の足し算ではなく、掛け算のように伸ばせる――の田中にとって、息が合う選手が多くてやりやすいと感じられる一因となった。
リーグ開幕後3戦での加入…なぜすぐ順応できたのか
とはいえ、レベルの高い選手が多かったとしても、環境を変えてすぐにフィットするのは簡単ではない。開幕後に加入して、合流4試合目の前半途中から欠かせない選手となれたのは何故だったのか。
実は、田中は入念な戦略を立てていた。