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「ゴール後の方が走りました」久保建英の魅力は“80m疾走弾”だけでなく…本音でオチャメな「クボ節」月曜21時の試合には「怒りも感じます」
posted2025/01/17 11:01
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
1月13日、ラ・リーガ19節。レアル・ソシエダはビジャレアルを相手に、久保建英のゴラッソで1-0の勝利を手にした。この一戦を撮影したが――ピッチ内での躍動ぶりだけでなく、試合後のコメントや振る舞いなどからも23歳の責任と自覚を感じる一夜となった。
無得点か…ホームに嫌な空気が漂いかけた瞬間に
比較的暖冬だったスペインだが、週末より続く寒波によって、吐く息は白くこの冬一番の寒さに覆われていた。
さらに月曜21時のキックオフも影響し、観客の入りは少なく2万800人ほどだった。ただその全ての観客を総立ちにする熱狂的なゴールが生まれたのは、後半6分のことだった――。
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この日のソシエダはアウェーチームを押し込み優位にゲームを進めたが、前半はノーゴール。昨シーズンから続く、絶対的エースのいないチームの得点力不足は甚大で、今節終了時点での総得点17は、リーグ最多51得点のバルサの3分の1でしかない。さらに2024年末、中断前最後の2試合では得点を奪えず、1分1敗で終わっている。
今日もまた同じ展開かもしれない……後半に入って少しずつビジャレアルが盛り返しており、ファンの中にそんな感情がもたげ始めてもおかしくない状況だった。
「ゴール後の方がたくさん走りましたけどね」
相手に押し込まれた展開の中で、オヤルサバルによって自陣から大きく蹴り出されたボールは――ピッチレベルで見る限り、カウンター攻撃のスイッチというよりも、大雑把なクリアのようにさえ感じられた。
ただ試合後の「ボールを要求して叫んだら、非常にいいパスをくれた」という久保のコメントからは、オヤルサバルが、久保のポジションに加えて、相手守備ライン裏の広大なスペースを把握してのパスだったことが窺える。
それでも振り向きざまのキックはやや雑で、ビジャレアルの最終ラインに残るダニエル・パレホがやや優位の状況だった。だが、パレホより後方から走り始めた久保がスプリントで上回ると、空中で交錯しながらも頭でボールを前方にかき出すことに成功する。
そのままボックス内に侵入すると、カバーに追いつくDFを細かいタッチで翻弄、相手の股下を抜く。最後はGKと交錯しながらもゴール左隅にシュートを流し込んだ。