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アスリートこそが社会課題解決のリーダーとして活躍する存在に。「HEROs AWARD 2024」を受賞した、5組の活動とは?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/12/27 11:00
「HEROs AWARD 2024」の受賞者。左からオットーボック・ジャパンの深谷香奈さん、陸上の福士加代子さん、ボクシングの那須川天心さん、野球の筒香嘉智さんの代理の筒香裕史さん、日本ラグビーフットボール選手会の川村慎さん
日本の力を呼び起こす存在へ
表彰の最後を飾ったのは那須川天心さんだ。那須川さんは「自分らしく、オリジナリティのある人生を多くの人が歩める社会」を実現するために、自身の生き方やマインドを伝えていくことを目的としてさまざまな社会貢献活動を行なっている。特定の社会課題に絞るのではなく、幅広い切り口でリアルなコミュニケーションが生まれる活動を敢行。その中で、2024年は能登半島の災害支援や児童養護施設の支援を行なってきた。那須川さんが発する、「困っている人がいるので助けよう。本当にそれだけ」「社会貢献活動をしているとも思わない」「お金は持っているのでうまく使いたい」「地位や名誉は関係ない。やるかやらないかだけ」「知名度のうまい使い方をしたい」といった数々の言葉からは、刺激的な響きの中に那須川さんの真心が宿っていることが感じられる。
2024年3月には「卒業式に来て下さい」という長文のメッセージをインスタに送ってきた石川県立大聖寺高校の生徒の願いに応えてサプライズで卒業式に足を運んだ。そこにあるのは、「子どもの頃、ウルトラマンのショーに行ってウルトラマンに抱っこしてもらったのを今でも覚えている」という原体験。ひとりの人として自然と湧き出てきた思いを即座に行動に移すところには、アスリートならではの力がみなぎっている。
なお、アワードでは英国リバプールから来日したマット・パリッシュCEOがリバプールFCによる社会変革のための取り組みを説明する時間も設けられた。
また、「HEROsプロジェクト」が2024年に新たに発足させた2つのプロジェクトによる活動報告もあった。ひとつはプラスチックごみ問題に取り組む「HEROs PLEDGE」チーム。そしてもうひとつは「HEROs災害支援チーム」のプロジェクト。こちらは昨年のアワードで発足が発表された直後の2024年1月1日に能登半島地震が起き、9月には能登で水害も勃発。HEROsのアスリートがいち早く被災地支援に向かうことができた要因となった。
「HEROs AWARD」に集ったアスリートは「スポーツ×社会課題」という新たな方程式のもと、社会課題解決のリーダーとして活躍したいという高い志を持つ者ばかり。日本の力を呼び起こす存在ともなっていくHEROsから目が離せない。
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