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ブランの謝罪にたまらず退室…「ホントにソーリーじゃねーよ」男子バレー“失意の天才リベロ”小川智大の目を覚ました“予想外の出来事”とは?―2024下半期読まれた記事

posted2024/12/29 06:00

 
ブランの謝罪にたまらず退室…「ホントにソーリーじゃねーよ」男子バレー“失意の天才リベロ”小川智大の目を覚ました“予想外の出来事”とは?―2024下半期読まれた記事<Number Web> photograph by Takuya Kaneko/JMPA

山本智大と小川智大という世界最高峰のリベロが2人もいたことは、ブラン監督を大いに悩ませた

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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Takuya Kaneko/JMPA

2024年の期間内(対象:2024年9月~2024年12月)まで、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。バレーボール部門の第5位は、こちら!(初公開日 2024年10月10日/肩書などはすべて当時)。

 悔しい思いを味わったのは、選ばれた12名の選手だけではない。「世界一のリベロ」と称されながらも、悲願のオリンピック出場を逃した小川智大(28歳/ジェイテクトSTINGS愛知)。なぜパリに残ったのか、なぜ最後のコートで涙を見せなかったのか。SVリーグ開幕直前、本人がすべてを明かした。【NumberWebノンフィクション全4回の最終回/小川智大の前編富田将馬編エバデダン・ラリー編も公開中】

 泣くな、と自分に言い聞かせても涙が溢れた。

 パリ五輪に出場する12名がミーティングの場で発表された6月23日の夜、小川智大は静かに悔しさを噛みしめた。どう声をかけるのが正解なのか。誰もわからない。

 最初に小川に声をかけたのは、フィリップ・ブラン監督だった。

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 経験豊富な名将も「最も嫌な仕事だ」と本音を漏らしたのが、選手選考だった。15名から12名に絞り込む。監督としての苦悩を押し殺し、何度も何度も、小川に言った。

「ソーリー、トモ、ソーリー」

 泣きそうな顔で訴えるブランを見ながら、涙を拭い、小川も必死で応えた。

「大丈夫、大丈夫だから」

 ブランだけでなく、その場にいる誰もが自分を気遣っていることをわかっていた。だからあえてその場は足早に立ち去った。部屋に帰れば同部屋の山内晶大に気を遣わせるだろう。少し一人になって頭と心を整理したかった。小川はそのままエレベーターで1階まで降り、ホテルのロビーにあるソファーに座った。

 何を考えるでも、何をするでもなく、ぼんやりとスマートフォンをいじる。

「落ちたんだな。パリ、出られないんだな」

 さまざまな感情と向き合いながら、どれぐらい時間が過ぎた頃か。平静を取り戻させたのは、なんとも意外な出来事だった。

【次ページ】 「目の前にアメリカ代表の選手が通り過ぎて…」

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