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「ハワイで水着になりたくて…」体重90キロ看護師がダイエット目的で始めたボクシングで人生激変…アマ日本代表→30歳でプロボクサー転身
posted2024/12/30 11:04
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Wataru Sato
熱気に包まれた師走の後楽園ホールで右手を上げられ、31歳で新たな人生の第一歩を踏み出した。
アマチュアからプロに転向した津端ありさの枕詞は、20代の頃からずっと変っていない――二足のわらじを履く、看護師ボクサー。
2024年12月11日、フルマークの判定勝ちでプロデビューを飾ると、各メディアには『看護師ボクサー・津端ありさ』の見出しが並んだ。本人は職業ありきで注目されることもプラスに捉え、屈託のない笑顔を浮かべる。
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「『同じ看護師なので気になる』と知り合いの娘さんが、プロデビュー戦の会場に足を運んでくれたんです。前に勤めていた病院の同期も来てくれましたし、同業の方に応援してもらうのは、めちゃくちゃうれしい。その仲間からは『ボクシングもしてすごいね』と言われるのですが、私からすればフルタイムで働いている看護師のほうがすごい。ずっと続けていくのは、心身ともに本当に厳しい仕事なので」
「看護師ボクサー」と呼ばれる違和感
医療がひっ迫したコロナ禍に総合病院の常勤看護師として従事した津端の言葉には実感がこもる。現在はリングに軸足を置き、都内にある心療内科のライフサポートクリニックで非常勤として働く。アマチュア時代から競技活動を支えてくれているスポンサーの支援もあり、週2回の勤務でも生活できているという。
病院ではドクターの指示で注射を打つこともあるが、主にはうつ病、適応障害、依存症などに悩む人たちに向けて、運動療法のボクササイズを担当している。
「プログラムを通し、少しでも元気づけられて、気持ちが上向けばな、と。メニューは自分でつくるのですが、強度は少し高めですね。ボクシングで力を出し切ってもらい、爽快感、満足感を覚えてもらうように心がけています」
いまでこそ、『看護師ボクサー』のキャッチフレーズを目にしてもネガティブな感情を覚えないが、以前は複雑な心境だった。
「どこかで引け目を感じていたところはありました。話題先行でメディアに名前が出て、それに実力が伴っていなかったので……」