第101回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER

〈早稲田大学〉大迫傑と渡辺康幸の早大記録を超えたエース・山口智規(3年)が“花の2区”で挑む三強との真っ向勝負 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph byNanae Suzuki

posted2024/12/23 10:01

〈早稲田大学〉大迫傑と渡辺康幸の早大記録を超えたエース・山口智規(3年)が“花の2区”で挑む三強との真っ向勝負<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

押しも押されもせぬ早稲田大学のエース・山口。箱根駅伝では花の2区でエース対決に臨む

 そして前回の箱根駅伝では、エース区間の2区に抜擢された。1年生の時は直前の体調不良で走れなかったため、山口にとっては初めての出場だ。その舞台でまたしても早大の歴史を塗り替えた。

 山口は1時間6分31秒で区間4位と好走し、8人を抜いて4位に押し上げる活躍を見せた。30年近く前の記録と単純に比較はできないものの、箱根駅伝の伝説ともいえる渡辺康幸(現・住友電工監督)の記録を17秒上回り、2区の早大記録を打ち立てた。

「求められている以上の走りができた」と自身も納得のいく箱根駅伝デビューになった。

 箱根駅伝の勢いそのままに、今年2月の日本陸上競技選手権クロスカントリー競走で、力のある実業団勢を相手に奮闘。大学生の枠を超えて、シニアの大会で初めての日本一に輝いた。

 同日の大阪マラソン2024で平林清澄(國學院大學)が初マラソンとしては日本最高記録で優勝を飾ったこともあり、それに比べると山口の快挙を伝える報道が少なかったが、日本一のタイトルなのだ。本来であれば、もっと大々的に報じられてもおかしくはなかった。

 山口は3月の終わりに開催されたベオグラード2024世界クロスカントリー選手権の日本代表に選出され、日の丸を背負って世界の舞台を駆け抜けた。

エースの誇りをかけて競う2区

「チーム内で抜けている存在」と花田勝彦駅伝監督も言うように、山口は今や誰もが認める“エンジ”のエースだ。その肩書きにふさわしい活躍を十分過ぎるほど見せてきた。だが今季はレースが立て込み、なかなか納得のいく走りを見せられずにいた。

 駅伝シーズンに入っても、出雲駅伝では1区12位と力を発揮できなかった。全日本大学駅伝は2区で13人抜き(区間5位)の活躍を見せたものの、山口にとっては「不完全燃焼」だった。

 ようやく及第点の走りをできたのが、全日本大学駅伝の1週間後の日本体育大学長距離競技会。10000mで自身初の27分台となる27分52秒37の自己ベストをマークした。

 山口は「まだまだです」と気を引き締めながらも、「楽に27分台で走れたので、箱根駅伝に向けてひと安心できる好材料になった」と、手応えを得た表情は明るかった。

「前回大会が終わってから監督に『来年の設定は(2区で)66分フラット』と言われ、そのつもりで夏も取り組んできました。優勝候補の大学は65分台を狙える選手を配置してくると思うので、65分台を頭に入れて後れをとらないようにしたいと思います」

 チームの目標は三強の一角を崩しての3位以内。その目標を果たすために、ライバル校のエースたちと競り合うイメージはできている。

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