第101回箱根駅伝(2025)BACK NUMBER

特等席で箱根駅伝を見続ける日本テレビ平川アナウンサーと蛯原アナウンサー。彼らが伝えたい、箱根駅伝中継の面白さと第101回大会の展望

posted2024/12/05 12:50

 
特等席で箱根駅伝を見続ける日本テレビ平川アナウンサーと蛯原アナウンサー。彼らが伝えたい、箱根駅伝中継の面白さと第101回大会の展望<Number Web> photograph by Shiro Miyake

日本テレビ 平川健太郎アナウンサー(左)、蛯原哲アナウンサー

text by

小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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Shiro Miyake

 どちらのアナウンサーも、箱根駅伝ファンにはお馴染みだろう。

 平川健太郎さんは放送センターの司会を務めて丸10年、蛯原哲さんは6年連続で1号車からの実況に携わってきた。

 放送センターはいわば番組の司令塔である。スタジオに陣取り、解説者らとのトークをまじえながら、俯瞰した視点でレースを伝える。かたや1号車は、先頭争いを映し出すカメラで、現場から臨場感ある声を届けるのが役目だ。

 年の差5つの名コンビは、新たな時代の幕開けとなる第101回大会で、どんな箱根駅伝を伝えたいと願っているのだろう。

◆◆◆

蛯原 今はいつになく緊張感があります。

平川 ありますね。

蛯原 なぜなら、立場が入れ替わりますから。私が放送センターで、平川さんが1号車担当になります。先輩にとって何年ぶりの1号車ですか。

平川 第82回から第84回大会まで担当したので、17年振りですね。不安なことも多いので、先日歩いてコースの下見に行ってきました。

蛯原 さっきそれを聞いて、驚いたんです。平川さんでも歩くんだなって。

平川 アナウンサーはみんな、一度は歩きますね。実際に自分の足で歩くと、坂の傾斜や風の強さを肌で感じることができます。昨日は大磯から小田原辺りまで歩いたんですけど、初めは汗をかいていたのに、小田原の市民会館が近づいてきたら一気に体が冷えてきた。箱根山からの風の影響なのか、選手もここで寒さを感じたりするのかなって、改めてそんなことを想像しながら歩いてました。

蛯原 前回の箱根駅伝は4区で雨が降り出して、まさに駒澤大学の藤田敦史監督は「冷たい雨にやられた」っておっしゃってました。「4区を走った山川(拓馬)君は寒さにあまり強くない。気象条件が違ったら、ここで差を広げられることはなかったかもしれない」と。天候次第でレースが大きく変わる。あらためて学んだことでしたね。

新たな歴史が始まる第101回大会

平川 そういった意味では、スタジオは安心だよ。暖かいし、トイレも近いから(笑)。じつは今回の配置換えを決めたのは蛯原アナウンサーなんですよね。箱根駅伝中継のチーフなので。

蛯原 もう第100回大会よりも前から、各所に相談させていただきました。先輩が10年をひとつの節目として考えていたことも知ってましたし、不肖蛯原でよければこの大役を務めさせていただきたいと。それこそ箱根駅伝も次回が第101回大会で、新たな歴史が始まるタイミングでもある。「温故知新」というテーマを掲げて、古き良き100回の伝統を受け継ぎながら、また新たなものにチャレンジしていきたいと考えています。

平川 ここ数年を振り返っても、選手自身の能力の向上はもちろん、シューズ性能の向上もあり、駅伝そのものが進化してきた気がしますよね。記録もすごく伸びてます。ただ一方で、復路が独走になるレースも多くなった印象があって、それが次回はどうなるのか。

蛯原 まさに前回もその流れでしたよね。優勝候補の筆頭に挙げられていた駒大が1区から先頭に立って、3区は当時10000mで日本の学生選手No.1記録を持っていた佐藤圭汰選手。3区にたすきが渡った時点で、確か2位の青山学院大学とは22秒差だったんです。これはさすがに駒大だろうと。この先ずっと僕は藤色のたすきを見て実況するのかなって思いましたから。

平川 確かにそんな雰囲気でしたね。ところが、そこから青学大の逆襲が始まる。

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