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核心にシュートを!BACK NUMBER
「森保監督の“逆質問”じつは割とよくある」日本代表発表会見の舞台ウラ「FW古橋亨梧とDF渡辺剛の落選が続いたのは…」取材記者が考察
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/11/14 11:31
森保一監督は現在、数多くの海外組から日本代表をセレクションする立場になっている
別の記者から「上田選手がいない中での戦い方はどうなりそうですか? また、フォワードの選手に求めるものは?」という質問が飛んだところ、森保監督は「どう変わると思いますか?」と聞き返しつつ、その記者の返答を受けて、森保監督は「すみません」と切り出し、こう語った。
「悪意があって質問し返しているのではなくて。いろいろなことをより共有できるかなと思って。みなさんからは何を質問されても良いと思っていますし、何か考え方を持ってぶつけてもらった方が私も答えやすいので、お二方には逆質問をさせてもらいましたけど……」
じつは、森保監督が質問で返すことは割とよくあることで、今回だけではない。筆者もそれをわかっているから、いつ聞き返されても良いように事前に準備している。それだけに、動画などで話題になったのは意外でもあるのだが――。
森保監督から呼びかけられたシーンについて、話を戻そう。
「先ほどの件なのですが、(渡辺)剛の件は、逆に誰が入っているのが不思議だと考えているということですか? もし、私が見落としているところがあれば……」
森保監督は、自身が見落としている見方やデータなどがあるかを意見交換したかったようだ。そこで筆者は前述した古橋、渡辺らについての考察を話した(憶測を立てないために記すが、招集外の理由を筆者にだけ伝えるということはなかった)。あとは逆質問の際に会場から笑いが起こったため、悪意があったわけではないと再度伝えたかったのだろう。
「また何かあれば、今回みたいに色々な考えを聞かせてもらいながら……」
ハリル時代、遠藤航がデュエルで評価されたからこそ
そうしたやり取りも踏まえ、改めて考えたことがある。
思い出してほしいのはヴァイド・ハリルホジッチ元監督の時代である。彼は批判されてしかるべきところが多くあった指揮官だったが、デュエルの重要性を訴え続けた功績はある。そして、それ以降、日本ではデュエルの重要性が認知されるようになった。その結果、遠藤航のような従来の日本では評価されにくかったファイタータイプのMFが脚光を浴びるようになった。その事実を忘れてはならない。
日本代表監督には、日本サッカーの未来の発展に寄与する権利と、そのために発信する責務がある。だからこそ、選手選考の際に大切にしている基準について、代表会見で今以上に明かしてほしいと願う。もちろん一人ひとりの招集や落選の理由を個別詳細に語る必要はないが――さらに日本代表を強くするため、ロードマップとして選手に求めている資質や能力について言語化していくことが、未来につながるはずだから。
〈第1回からつづく〉