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レッドブル幹部が初めて語った「なぜ大宮だったのか?」「クラブ名、カラーはどうなる?」…変革封印「1時間のメディア会合」で示した“本気度”
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戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2024/10/18 17:02

レッドブルサッカーのテクニカルダイレクターを務めるマリオ・ゴメス氏。現役時代はドイツ代表のストライカーとして活躍した
ゴメス氏は落ち着いた口調で答える。
「クラブの目標に向かってどういう形がいいのか、情報を共有していくことが大事だと思っています。クラブスタッフのみなさんとコミュニケーションを取りながら、ともに進めていくことが大事でしょう。今シーズンここへ至るまでにチームを築き上げてくれたスタッフ、選手、関わってくれたみなさんには、この場を借りてお礼を申し上げます。いままで築き上げたもののすべてをリスペクトしながらやっていきたい、と考えています」
情報共有を強調しつつ、RBのカラーを出す準備は進めていく。ゴメス氏の言葉から、グローバルなグループの自負がのぞく。
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「一方で、大宮アルディージャがいままでやってきたことを多角的に分析していきます。たとえば選手のスカウティングから契約内容まで、 すべてにおいて色々な形で分析をしながら、さらなる発展のために何が必要か。それについて、いまいるスタッフのみなさんと話し合っていきたいと考えています」
RBが「変革のビジョン」を封印した理由
ゴメス氏とフィリップ氏が繰り返したのは、「クラブと地域をリスペクトし、習慣や文化を理解し、地域と一緒にやっていく。クラブ内では現状を事細かに把握し、分析し、改善すべきところは改善する」というスタンスである。
中長期的なビジョンとして、2025年から3年ないし4年でJ1へ昇格し、30年にはタイトルを争う、ACLへ出場する、といった成長モデルを描く。ただ、ゴメス氏は「とにかく早く何かを成し遂げればいい、ということではない。しっかりとしたものを構築していくために、ステップバイステップを意識しながらやっていく」と位置付けている。
1時間ほどのメディアギャザリングでは、決定事項の報告も、新たな方向性も、斬新なプランも示されなかった。逆にそれが、RBの本気度と誠実さを表している。
レッドブルグループのグローバルサッカー責任者に就任したユルゲン・クロップとも、すでにコミュニケーションを取っているという。香川真司、南野拓実、遠藤らを指導した名将は、「レッドブルグループはお金を出すだけではない。クラブを、選手を、しっかりと育てる。そこは大事にしなければならない」と話しているという。
ドラスティックな変革ではなく、着実な成長を。
RB大宮の動向が、これまで以上に興味深くなっている。
