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“サウジ戦、試合前に勝負あり”記者が確信「日本代表サポ10人ほどに…」森保監督とサブ組の“テレビに映らない”真相「その上で1つに、ね」
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byREUTERS/AFLO
posted2024/10/14 17:02
鬼門のアウェーでキッチリと2-0。試合を決めた2ゴール目に、スマホをむけるサウジファンの姿も
試合前日、彼らのドタバタぶりを象徴する出来事があった。サウジアラビアは当初、スタジアムでの公式練習を、キックオフ時刻(21時)に近い20時開始で予定していた。ところが、当日になって17時15分へと変更したのだ。当然ながら、20時開始の場合と比べれば、気温も湿度もはるかに過酷な中での練習をすることになる。
いったい、何故――。
試合前日に、あえて暑い環境のなかで身体を動かすという暑熱順化対策なのか。あるいは、ケガ人や体調不良者がいるため、試合前日練習から24時間以上の休息時間を作ろうとしたからなのか。想像は膨らんだが……サウジアラビアを率いるロベルト・マンチーニ監督の答えを聞いて、ズッコケそうになった。
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「20時から練習をすると、夕食を取るのが23時になってしまう(遅すぎる)からだ」
試合に向けた準備の質や意識が大人と子供くらい違った。
菅原由勢の行動に、試合前から勝利を確信した
試合前に勝利を確信できるシーンが、実はもう1つあった。
キックオフ直前のウォーミングアップでのこと。およそ20分にわたり身体を動かしたスタメンの選手たちは、順次ロッカールームへと引き上げていった。
ただ、サブ組の選手たちは違った。先発組の選手のためのボール拾いなどの仕事が終わったこのタイミングは、彼らが自由に使える時間なのだ。
そこからわずか3分間ほどではあったが、試合直前ミーティングが始まるまでの時間を自分のために必死に活用しようとする選手たちであふれていた。
例えば、菅原由勢。
カタールW杯以降、多くの試合で右サイドを駆け抜けてきた彼は、〈3-4-3〉が導入されてから“ポジションがない状態”となっている。それでも菅原は、斉藤俊秀コーチにボールを投げてもらい、ヘディングでクリアする動きをハイペースで繰り返した。動き、跳び続けていれば息が切れるはずだが、これで終わりではなかった。そこからは時間が許すギリギリのタイミングまで、試合中のサイドチェンジをイメージしたロングボールを菅原は蹴り続けていた。
「試合に出たい」、そのうえでチームが1つに
サウジアラビア陣営ではスタメンもベンチスタートの選手もあっさりピッチから去っていった。それは実に、対照的な光景だった。あの時間帯の空気感について、ベンチ入りしながらも出場機会のなかった瀬古歩夢はこう証言している。