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「え、名前変えちゃうの?」男子バレー人気チーム“異例の改名”に選手の本音は…SVリーグ初代王者の座を狙う「大阪ブルテオン」の野望
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/10/10 17:30
SVリーグ初代王者の座を狙う大阪ブルテオン。開幕戦では高橋藍を擁するサントリーサンバーズ大阪と対戦する
選手もはじめは戸惑ったという。2021年から主将を務めている山内は最初、「えー、変わんなくていいのにな」と思ったと率直に明かす。
「せっかく、パナソニックとかパンサーズが浸透していましたし、この枚方を中心にした地域もそうですし、地方のいろいろなところから来てくれたり、海外から来てくれる人もいたので。長い歴史があるチームで、僕はキャプテンもさせてもらいましたし、名前が変わってしまうことに寂しい思いもありました」
それでも、チームの久保田剛代表の説明や覚悟を聞き、選手たちも納得した。
企業スポーツからの脱却と「パンサーズ問題」
リブランディングのキーワードは、ローカルとグローバル。“地域と世界”だ。地元にしっかりと根ざしながら、“世界一のクラブ”を目指すということ。そのためには、チーム名を変えることが必要だったと、久保田代表は語る。
「“パナソニック”の名前のままでは、企業スポーツの延長ですから。これからもっと地域に根ざしてプロスポーツクラブとしてやっていくには、会社以外の皆さんに支えてもらわなければ成り立たないので、言っていることとやっていることが違わないように。広く大阪の皆さんに愛していただいて、世界を目指すために、企業名を外して地域名を入れることにしました」
“世界一”を目指す上では“パンサーズ”という名称がネックになる可能性があった。チームが目指す世界一とは、「2030年までに世界クラブ選手権で優勝する」という競技面だけではない。経営面でのグローバル化も見据えた時に、アメリカのNFLのカロライナ・パンサーズやNHLのフロリダ・パンサーズなどと被る名称はどうなのか、という議論がなされた。
「アメリカの4大スポーツをはじめ、パンサーズというチーム名称は世界中にあるし、日本国内にもあります。一緒でもいいじゃないかと思われるかもしれませんし、我々も非常に大事にしてきたチーム名です。パンサーズポーズを含め、ファンの方に本当に愛していただいたと理解していますので、私自身も迷いました。
ただ世界に出ていく上で、例えば(WEBの)検索エンジンにかけた時に、我々のチームが必ずしも出てくるとは限らない。たくさんの機会損失があるんじゃないかと考えました。アジア方面を起点にして世界に出ていくにあたって、商標の問題など、グッズを作る場合などにいろんなリスクが起こり得る。そこで、チーム名は見直さなければと考えました」