甲子園の風BACK NUMBER
甲子園優勝「あの喧騒」から1カ月…秋大会で京都国際“まさかの”4回戦負け 指揮官のこぼした本音「現実をちゃんと受け止めないといけない」
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/10/05 11:01
甲子園でも活躍した2年生サウスポーの西村一毅。秋大会でも好投を見せたが、4回戦で京都外大西に敗れた
近年、4年連続で秋の近畿大会に出場していた京都国際は、5年ぶりに近畿大会出場を逃しただけでなく、府大会のベスト8を目前に敗れたことは久しぶりなのだという。
「去年の冬はセンバツがあるから頑張れた、というのがありましたが、4回戦で負けたこの現実をちゃんと受け止めないといけないよとは言っています」。
京都外大西戦後「西村以外のレギュラーは白紙」と指揮官は明言。この秋は、経験値や練習での動きを見ながら起用できる選手を何とか見極めてきた。
「9月の段階ではポジションの適性すら見極められていない選手も多かったですけれど、今は色んなポジションを試しながら練習の日々です。今、キャッチャーのノックに入っている子も、もともとは外野手なんですよ。
現チームは素材型の子が多いんです。体が大きい子も1年生の方が多いですしね。時間をかけて育てていかないといけないと前から覚悟していたんです。でも、伸びれば前チームを超える力はあります。前チームは守備型でしたが、今のチームは攻撃型。鍛えればどこまで伸びるのかというロマンのあるタイプが多いんです。8月は試す場すらなかったので、今こそが本当の新チームに接しながら指導しているという感じですね」
来夏は「全員で優勝旗を還しに行けたら」
未経験づくしの夏による“洗礼”はひとつの失敗として捉えられるが、京都国際とすればひとつの経験値にもなった。聖地で勝ち進んだ故の“宿命”を今後の糧とし、前に進んでいくしかない。
「とにかく基本練習をみっちりやれていない分、この秋と冬の長い時間の中で、基本練習、反復練習ができる。そんな気持ちですね、今は」
最後に指揮官はこんなことも口にしていた。
「夏の甲子園で慶応高校の主将が1人で優勝旗を還しに来ている姿を目の前で見て、かわいそうやなと思ったんです。ウチが甲子園連覇なんて非現実的すぎますけれど、まず夏に全員で優勝旗を還しに行けたらと思います」
秋の敗戦のちょうど1カ月前の8月23日は、夏の甲子園の中心で歓喜の輪を作っていた。泣き笑いが入り混じったこの1カ月を経て、京都国際はまた新たな歴史を紡いでいこうとしている。