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「これはすごいスタッツだ!」カブス監督なぜ絶賛? 今季すでに14勝、今永昇太の“じつはスゴイ”四球数と登板間隔「日米の違いを理解して…」
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2024/09/20 11:04
メジャー1年目ながら今季ここまで14勝を挙げている今永昇太
今永の“じつはスゴイ”登板間隔への適応
今永を評価する上で忘れてはならない事実がある。それは登板間隔だ。雨天中止で先発機会が一度スキップされ、中10日となった5月29日のブルワーズ戦を除き、彼はほぼ5人ローテーションを守ってきた。
日本から海を渡った新人投手が、ケガなどで離脱することなく、中4、5日で投げ抜くことは簡単なことではない。メジャーでは当たり前の『中4日』も、日本野球では経験しないことだ。たとえ、日本で数回、中4日を経験したことがあっても、シーズンを通して投げ抜いてきたこととは違う。
野茂英雄に始まり、松坂大輔、黒田博樹、ダルビッシュ有、田中将大、菊池雄星らの先人も1年目からそのハードルに挑み、クリアしてきた。まだ2試合の登板を残す今永だが、彼に与えるべき評価はここにある。今永自身もシーズンが始まる前から強く意識してきたことだという。
「自分の体の異変にしっかり気づいて、未然に防いでいくというのが大事だと思ってやってきました。それができているのかなと思います。でも、メジャーでは投球数が100球いかなかったりもする。日本だったら7、8回でも、ピンチで投げ切りなんですけど、こっちの場合は投げ切らずに回途中で代わる。自分でもそういう終わりが投げていて見えるので、まぁ、そういうところの違いもありますよね」
勝負哲学が見えた「大谷との対決」
結果を残してもいたって謙虚。だが、自分なりに考えを持ち、挑んできたのも事実で、数多いポイントがある中で、彼は中4、5日で投げ抜くための技術をひとつ教えてくれた。
「日本とアメリカの野球の違いをしっかり理解して投げるというのが、一番大事だと思っています。日本のバッターにはボールを前に飛ばさない技術があるんです。あえて飛ばさない技術。逆にこっちのバッターは、どんなボールでも前に飛ばす技術がある。僕の場合は、その飛ばす技術を利用するしかないなと。飛ばす技術を飛ばさせないようにするのでなく、飛ばす技術を上手く利用する。そういうマインドの切り替えです」
具体的にはどんなことなのか。キーポイントは相手打者の心理を探り、利用することだという。
「こういうボールを絶対打ちたいだろうなというところで、そういうボールを投げると、こちらでは絶対に打たれます」