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日本代表・敵地バーレーン戦で見たい「絶対に負けられない戦いの“新常識”」とは…先発予想・遠藤航と中山雄太らが重要視する「ベストな選択」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/09/10 17:19
大勝した中国戦の余韻に浸らず、敵地バーレーン戦へ。先発が予想される遠藤航らがピッチでどんな表現をしてくれるか
「再現性というよりは、創造性かな。そういうシーンが多いですね、代表では。前線にタレントがそろっているので」
では、あのゴールのきっかけを作ったのは誰か。現在は町田ゼルビアに所属し、東京五輪世代のリーダー格である中山雄太だ。
前半29分33秒、GKの鈴木彩艶がボールをキャッチしている状態から、日本の攻撃はスタートした。ただ、バーレーンは1トップ以外が早々に引く動きを見せたため、日本の選手も相手陣内へと向かった。そして、鈴木が得意のロングキックを蹴ろうとしたそのときだった。
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前に上がりかけていた中山が、相手をだますような動きで一気に下がってきてフリーになり、鈴木が右手で確実に投げたパスを受けた。
全てはここから始まった。以下、パスに関与した選手を矢印でつなげると……。
鈴木→中山→板倉→毎熊→板倉→遠藤→板倉→久保→毎熊→板倉→毎熊→冨安→毎熊→板倉→冨安→中村→冨安→中村→遠藤→毎熊。
そして毎熊が強烈なミドルシュートを放ち、相手GKがはじいたボールを堂安が押し込んで生まれた。
起点となった中山に尋ねてみると
GKからパスをつなぎ、相手に触られずにフィニッシュに行く。それはカタールW杯スペイン戦で自陣からパスをつなぎ、「三笘の1ミリ」から田中碧が決めたゴールをほうふつとさせる。
今回のバーレーン戦を前に、あのゴールの起点となった中山に聞かずにはいられなかった。
「アジア杯の先制点は、中山選手のパス受けから始まったが覚えていますか?」
「ああ、覚えています」
筆者はさらにこう質問した。
「当時、冨安選手にあのゴールについて聞いたら、『再現性というより創造性』の成果だという答えが返ってきました。中山選手はどうしてあのような判断ができたのですか?」
すると中山は、思慮深く質問に答えてくれた。
「相手と自分たちの状況で、ベストな選択を取るのが自分のスタイルなので。さすがにもうあまり覚えてないですけど(笑)、あのシーンで言えば、相手が単純にプレスバックするくらいの意識だったから『下りたら受けられるだろう』と。前半は、左で作って右で仕留めるくらいでいいかなと思っていたので……」
大切なのは「ベストの選択をすること」
そこまで話すと、中山が今の代表チームにとって大切なことを口にした。