NumberPREMIER ExBACK NUMBER
「移籍は生き物と同じ」菅原由勢がプレミアリーグ・サウサンプトンのオファーに即決したワケ…“大先輩”吉田麻也からのアドバイスとは
posted2024/09/10 17:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Getty Images
発売中のNumber1103号に掲載の[決意表明]菅原由勢「最高の自分を出し続けたい」より内容を一部抜粋してお届けします。
プレミアデビュー戦、つかみはOK
出だしと出足、“つかみはOK”だった。
8月17日、2部からプレミアリーグに舞い戻ってきたサウサンプトンの一員として、菅原由勢がニューカッスルとの開幕戦のピッチに立った。
与えられた先発ポジションは右ウイングバック。味方がボールを保持すれば出足鋭く、ドンドンと前に出ていく。序盤、クロスと見せかけて縦に突破して相手のイエローカードを引き出せば、前半終盤には絶妙なクロスからベン・ブレアトン・ディアスのシュートを導いた。昨季11得点のアンソニー・ゴードンをマークしつつ、19歳の左SB、ルイス・ホールにストレスを与えて45分間、右サイドで主導権を握った。
相手に退場者が出ながらも先制点を許したことによって、より攻撃性を強めるために前半だけでサミュエル・エドジーと交代に。結局、チームはゴールを割れずに0-1で敗れてしまっただけに、チャンスを演出していた背番号16の新参者がそのまま残っていれば……、とセインツのサポーターにため息をつかせただけでも、十分なインパクトを残した。
いい始まりなくして、いい循環は呼び込めない。まさに出だしにこだわった。
オランダのAZアルクマールで5シーズンにわたってプレーし、絶対的な地位を築いてきた24歳のサイドバックはオファーの届いたサウサンプトンと今夏に合意。6月に日本代表の活動を終えてからは、1週間ほどしかオフを取らなかった。
「移籍というものは生き物と同じですぐに動いていく。いつ移籍の話が来て、いつサインするか分からない状況でもあったし、(決まれば)新天地に行って一発目の練習からアピールするためにはコンディションをしっかりつくっておかないといけませんから。体は動かしていても、メンタル的には休めたので全然問題はないです」
オファーに即決、相思相愛の移籍
サウサンプトンとは浅からぬ縁があった。昨年のプレシーズンマッチで戦い、チームに好印象を抱いていたのだ。
「(吉田)麻也さんや(南野)拓実くんたちがプレーしてきたクラブの歴史は知っていましたし、対戦してみて客観的に見ても面白いサッカーをやっていました。本当にチャンピオンシップ(2部)なのかっていうくらい全体的なレベルも個々のクオリティも高くて、びっくりしたほどです」
サウサンプトンは30代の青年指揮官ラッセル・マーティンのもとでボールを保持してパスを細かくつないでいくスタイルにこだわり、わずか1年でプレミアの舞台に復帰してきた。そのマーティンが欲した新戦力こそが菅原。オファーが届くと、「すぐに返事をした」相思相愛の移籍でもあった。