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「月経の時期は白のビキニは避けたい」ビーチバレー会場に“ある異変”…パリ五輪で選手に聞いた「ビキニ派とショートパンツ派」両者の本音 

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吉田亜衣

吉田亜衣Ai Yoshida

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posted2024/09/03 11:02

「月経の時期は白のビキニは避けたい」ビーチバレー会場に“ある異変”…パリ五輪で選手に聞いた「ビキニ派とショートパンツ派」両者の本音<Number Web> photograph by Getty Images

ショートパンツを着用して五輪に臨んだフランス代表の選手たち

ユニフォーム選択の規制はこんなに変わった

 選手たちは、信仰している宗教によって肌を露出することが禁じられている場合もある。このような点からトップスにおいてはTシャツや長袖シャツなどの規定も導入され、どの国の誰もがビーチバレーの国際大会に挑戦できる門戸が開かれることになった。

 2016年リオデジャネイロ五輪の時にはエジプト代表女子チームが初めて長袖とロングスパッツを着用して出場を果たした(今回のパリ五輪にも出場)。

 さらに国際バレーボール連盟は、昨年から天候による選手個々のコンディションに配慮できるように、ユニフォーム規定を緩和した。

 かつてのルールでは、試合当日の天候・気温によって2人同時という条件でスパッツやインナーウエアの着用が認められてきたが、新規定は「チームユニフォーム」として統一されたビブスとアンダーウエアを着用していれば、どちらか一方の選手だけのスパッツやインナーウエアの着用が可能になった。

 五輪ではパリ五輪が初の採用とあって、今回はユニフォームの選択の自由度が高くなったように見えるのは、その影響もあるだろう。

ビキニを着用する選手が解説「機能性のこだわり」

 日本代表の長谷川暁子(NTTコムウェア)/石井美樹(湘南RIGASSOビーチバレーボールクラブ)組は、出場した5試合すべてでビキニを着用していた。石井はその理由についてこう語る。

「私自身は、ビキニが一番プレーしやすいです。インナーウエアやショートパンツは、丈の長さによってはプレーしていると生地がよれてしまい、それを直すのが手間なのと、スパッツは血流が悪くなる感覚があるので極力着たくないと思っています」

 石井は普段の練習で着用しているビキニの機能性にこだわりを持っている。

「ビキニの生地の厚さや質によっては、砂が繊維の中に入ってしまうものもあるので、プレーしにくいものもあります。私が着用しているのは、シンガポールにいる元ビーチバレー選手が作っているメーカーのビキニ。砂が生地の中に入らないし、身体にフィットして動きやすいのでそのビキニを着用しています」

メーカーサイドの思い…重要課題は「着心地」

 石井が奨めるメーカー「HIRO BEACH HOUSE」のビキニは、選手間の口コミで広まり、現在はアジアやヨーロッパ圏の女子チームから注文があり、一部の国とはスポンサー契約を結んでいるという。「HIRO BEACH HOUSE」のCEOを務めるNg Tin Lai氏は、ビキニを開発した経緯をこう述べる。

「砂の上で激しく動き、汗や水が付きまとうビーチバレーという競技に適したよいビキニが見つからなかったので、自分で作ろうと思い会社を立ち上げました。最適な素材、縫製、デザインなど多少コストがかかっても、選手の皆さんが着心地がいいと言ってくれるものを提供するのがモットーです」

【次ページ】 パリ五輪で広がった「ショートパンツ着用」の流れ

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