天候、気温、湿度がめまぐるしく変わる環境には、当然ストレスはつきもの。最も影響を及ぼすのは選手たちが身にまとうユニフォームであり、ストレスをできるだけ軽減した「着心地」は重要課題。マーケットが狭いのが現状だが、世界各国の女子トップ選手たちは、まるで自分の皮膚の一部になるような、そんなビキニを求めている。

　しかしその一方で、今回の五輪ではあまり見られなかったがタンクトップや人気急上昇中のショートパンツの需要も増えていることは事実。オンラインショップでもビキニとともに販売を展開しているとNg Tin Laig氏は話す。

パリ五輪で広がった「ショートパンツ着用」の流れ

　パリ五輪でも、かつて「小さい水着」の代名詞になっていた強豪国のブラジル女子チームや開催国のフランス女子チームが、ショートパンツを着用して試合に出場していた。

　フランスは五輪開催が決まってから本格的に女子チームの強化に着手。事前のランキングで16位に位置し、メダル獲得の期待も背負っていた。なぜ、今回ショートパンツを選択したのか。試合に出場したフランスのリザナ・プラセットに理由を聞いてみた。

「フランスではまだまだビーチバレーのイベントが少ないので、大観衆の前で、女子選手はビキニだけではなくショートパンツでもプレーできることを示したいと思いました。私たちは競技の今後のことを考えて選びました」

　プラセットが話すように、日本においてもユニフォームによる普及の壁はある。長谷川は言う。

「女子選手はどうしても月経の時期があるので、自分としてもその時期は白色のビキニは避けたい。学生だったらスパッツだったりショートパンツだったり、競技に集中できるユニフォームを選択できる環境があることは重要。今はいろいろなスタイルでプレーできるようになったので、用途によって選択できるし、オシャレを目的に変化を楽しむこともできる。ビーチバレーの特性としていいところではないでしょうか」

　デザインや機能性がどんどん進化し、選択肢が広がってきたビーチバレーのユニフォーム。美しく豊かな芸術性と感性に溢れていたパリ・エッフェル塔スタジアムの舞台では、ユニフォームを通じてそれぞれの個性を堂々と表現する選手たちが、普段以上に輝きを放っているように見えた。《第1回も公開中です》

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「20年ぶり歴史的勝利」を叶えた選手の本音…長谷川・石井組が明かす“日本ビーチバレーの現状「環境はよくなった」「ガツガツした選手は…」