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「指導の基準がわからない」橋本壮市はなぜ反則負け? 永山竜樹は誤審? パリ五輪柔道「モヤモヤ判定」本当の論点
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2024/07/31 11:02
パリ五輪男子73kg級準々決勝、ギャバ(フランス)に反則負けを喫して憮然とする橋本壮市
例えば消極的であれば指導を与えられる。偽装攻撃、いわゆるかけ逃げは、技をかけて投げる気がないのに投げる真似をする行為だが、これも指導の対象だ。
では、今あげた2つの指導は、どの試合を見ても同じ基準で与えられていると感じられるだろうか。どうしても試合ごとにばらついているように思えたりするのではないか。
指導の基準は一貫しているか?
実際、ある試合では消極的な姿勢の選手になかなか指導が出なかったり、ある試合ではすぐさま出たり、そんな違いを感じることがある。
また、偽装攻撃を繰り返しているのではないかと思えても、試合によっては偽装攻撃とみなすことなく指導を与えないこともあれば、すぐさま与えることもある。
まずその基準に揺れがあることが、言ってみれば不信感を生じさせているきらいがある。しかも指導の出る出ないだけでなく、判断基準が試合に大きく影響することがある。
偽装攻撃ではないか、と思える攻撃を繰り返している選手が積極的に攻めているとみられ、相対する選手が消極的だとして指導を与えられる(と感じさせる)試合もある。そのような場合、選手としてもやりきれないだろうし、観る者も当然、フラストレーションをためることになる。