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パリ五輪“あの開会式”のウラで観光客が悲鳴「家族連れが警察官に追い返され…」セーヌ川付近はゴーストタウン化「市民は“パリ脱出計画”も」 

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齋藤裕

齋藤裕Yu Saito

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photograph by代表撮影

posted2024/07/28 11:31

パリ五輪“あの開会式”のウラで観光客が悲鳴「家族連れが警察官に追い返され…」セーヌ川付近はゴーストタウン化「市民は“パリ脱出計画”も」<Number Web> photograph by 代表撮影

7月26日のパリ五輪開会式で、セーヌ川を進むフランス選手団を乗せた船。右奥はエッフェル塔

規制区域となったエリアは「ゴーストタウン」に

 名所のルーブル美術館も開会式前日と当日は休みとなっていた。コンコルド駅、トロカデロ駅、エッフェル塔駅、シャトレ駅など主要駅とその周辺の駅も開会式前から封鎖され、世界的に有名な観光地で気軽にアクセスできるのは凱旋門くらいだ。

 困っているのは地元のパリ市民も同様だ。パリ中心部にある中洲・シテ島。大阪で言えば中之島のような落ち着いた島にあるカフェレストラン「Les Deux Palais」。華やかな店内はフランス映画の撮影にも使われ、観光客も多く訪れる憩いの場だ。

 24日朝9時過ぎ、お店を訪ねると40席ほどあるテラス席には誰一人いない。閉店しているのかと見まがうほどの閑散ぶりについて聞くと、スタッフがこう答えた。

「見ての通りだね。減っていることは間違いない。ただ、ウチは裁判所が近いのもあって、司法関係者が来てくれるから、幸いにもそこまでの影響は受けていないと思うよ。影響があるところは閉めている店も多いね」

 シテ島、そして隣り合うサン=ルイ島のお店の多くは張り紙をして休業状態だった。張り紙を見ると「21日から26日まで休む」と書いてあり、開会式の準備で警戒が強くなることを見越して当日まで商売を諦めている。

 開会式当日に中洲の2つの島を歩くと店は9割方閉まっており、規制区域となったエリアは開会式を見に来る観光客しかいない「ゴーストタウン」と化していた。

 影響は規制区域内にとどまらない。セーヌ川から500mのジュンク堂書店パリロワイヤル店のサミュエル・リシャルドさんはこう明かす。

「使えない駅や規制区域など人の流れが変わったこともあって、正確な数字はないですが、感覚的にはお客さんが2割ほど減っている印象を受けています」

【次ページ】 宿泊施設は一気に値崩れ…市民の「パリ脱出計画」も

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