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「私もこれ、できるじゃん」で金メダル!?…女子スケボー・吉沢恋(14歳)と赤間凛音(15歳)“本当の関係” 2人に見た「東京五輪のデジャヴ」とは?
posted2024/07/29 17:00
text by
吉田佳央Yoshio Yoshida
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
「3年前のデジャヴ」
パリ五輪スケートボード女子ストリートの結果を見て、直感的にそんなことを思った。
金メダリスト吉沢恋と銀メダリスト赤間凛音は共に2009年生まれ(※学年は赤間がひとつ上)である。
それなのに一体何がデジャヴだったのか。ヒントはこの1枚の写真にある。
コンテストでは吉沢より「1世代上」の赤間
この写真は日本スケートボード協会が2018年に開催した全日本レディース選手権での表彰の様子だ。真ん中が当時9歳で優勝を果たした赤間凛音なのだが、右は東京五輪の金メダリスト西矢椛で、左は昨年末の世界選手権を制した織田夢海。
赤間は3年後の金メダリストを抑えて優勝を飾っているにもかかわらず、吉沢恋は表彰台に立っていないどころか出場すらしていないのだ。
これが何を意味するのかというと、年齢はほぼ同じでもコンテストのシーンにおいては世代が違うということだ。同い年のメダリストということで一見するとライバル関係を思い描きがちだが、現実的に両者の交錯は近年にいたるまでほとんどないのだ。
赤間は出場は叶わなかったものの、東京五輪の選考レースにも参戦しており、パリ五輪の予選大会もケガ明けだった大会を除き全て4位以上と抜群の安定感で日本シーンを引っ張っていたのに対し、吉沢は東京五輪以降に出てきた新星で、直前まで今大会は出場権獲得にはギリギリ届かないのではないかと言われていた。
それが今年に入り急成長を見せての金メダル。パリ五輪に至るまでの2人の過程は3年前の東京五輪にエースとして参戦した西村碧莉と、上り調子だった西矢椛に重なって見えたというわけだ。
そもそも吉沢のコンテスト初出場は2019年の11月。その後はコロナ禍もありコンテストが開催されない日々が続いていたので、
秘めたポテンシャルを発揮できる機会が訪れなかったのだが、その間に習得したトリックが彼女の運命を変えることになった。