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交通事故被害から“4年半ぶり”の復帰、現在は監督業…バレー・斎藤真由美(53歳)を奮い立たせた「大ケガを負った母からの言葉」 

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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photograph byMiki Fukano

posted2024/07/25 17:02

交通事故被害から“4年半ぶり”の復帰、現在は監督業…バレー・斎藤真由美(53歳)を奮い立たせた「大ケガを負った母からの言葉」<Number Web> photograph by Miki Fukano

現在は群馬グリーンウイングスで監督を務める斎藤真由美さん(53歳)

 もしバレーボールから離れることになったとき、自分には何が残っているのか。そこではっきりとした目標を言えるような選手を増やしたい。そのために自分はこれから何をすべきか。どうしたら自分のこの思いが伝わるのか――。

 芝生の上を歩きながら、過酷なリハビリトレーニングに耐えながら、ずっと斎藤さんは考え続けてきた。

「わたしは結婚して、子供を産んでもこうしてスポーツを仕事として続けていますし、今は日本代表の岩崎こよみ選手のように、出産してからオリンピックに出場する選手もいて、徐々にバレーボール界も変わってきていると思います。彼女たちにはバレーボール選手として、そして選手生命を終えても社会で輝いてほしい。そのためにわたしに何ができるかということが今の目標になっています」

「指導者ももがき苦しんでいる」大切なのは対話

 そして2022年、群馬グリーンウイングスの監督に就任。ペップトーク(※心理学を考慮してアスリートを励ますために指導者が発する言葉)の講習を受けたり、日本スポーツ協会公認コーチの資格を習得し、益子直美さん主催の「監督が怒ってはいけない大会」への参加などを通じてバレーボールの普及にも力を注いでいる。

「様々な場で指導者の方と接するうちに、まずは昨今の指導者の方々ももがき苦しんでいるということは強く感じます。今、わたしも監督となって、ときには厳しいことを言わなければいけないこともある難しさを痛感していますので。わたしの言葉を受け止めた選手たちが『怒られている』と思ったときに、その指導は失敗になります。それにわたしの場合はプロの選手を率いているので、とにかく結果を残させないといけない。結果を残すことで選手たちが評価を得て、対価を得るのがプロの世界です。そこはやはり学生の指導とは異なってきます」

 心がけているのは対話だという。

「自分が監督に向かって『なんで自分を使ってくれないんですか』と言える選手だったので、つい選手にも求めてしまうのですが、普通はなかなか言えないでしょうね(苦笑)。でも、それでも言ってくれとは話しています。『自分を使ってください』と言えるくらいの努力をしてほしいと話しています」

 今秋、プロリーグとして生まれ変わるバレーボール『SVリーグ』参戦を決めた群馬グリーンウイングスを、本当の意味でのプロ集団にしたいと奮闘している。

「すべての経験が今につながっている」と話す斎藤さん。これから多くの体験をバレーボール界に還元していくつもりだ。《インタビュー第1回、第2回も公開中です》

(撮影=深野未季)

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