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「これ動かしていいですか?」日本代表DF伊藤洋輝がインタビュー中…コップとコースターで熱弁「ヤットさんからも学べた」頭脳のナカミ
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/07/17 11:06
伊藤洋輝はインタビュー中、コップやコースターを駆使してビルドアップ時の考えを明かしてくれた
2人のセンターバックとGKがゴールエリアにいる状態でゴールキックを始める。味方の誰かがボールを触った瞬間、相手チームの最前線の2人がプレスにくる。ここでは3対2の状況だ。
たいていの場合、プレスをかけてくる相手チームの2選手はそれぞれ、ボールを持った味方選手と、ボールを持っていない味方2人のうち1人に対してプレッシャーをかけてくる。しかも、ボールホルダーへプレスをかける角度を工夫することで、マークに付いていない選手へのパスコースも消してくる。そこから、味方のサイドバックへ展開したとしても、相手選手は同じようにプレスをかけてくる。
ブライトンと構造は似ているかなと思います
その状況で伊藤が目指すのは、マークにつかれていない味方選手へ良い形でボールを届けること。そのためには、相手のプレスを受けている選手同士で上手にパス交換しないといけない。
つまり、ボールを保持している〈1人目の選手〉からのパスを〈2人目の選手〉が、マークのついていない〈3人目の選手〉へとシンプルに繋げる形が有効になる。
このとき、軽く触ってコースを変える「フリック」や、壁パスのようなイメージでボールを落とす「レイオフ」などが用いられることが多い。これが無事に通れば、プレスを受けていない選手が前を向き、ボールを運んでいける。つまり、〈3人目の選手〉に良い形でボールを渡すメカニズムが重要なのだ。
「ここまではビルドアップの話ですけど……」
伊藤の解説は続く。
「そこから前へ出ていったときにも、常に『3人目の選手』を探すイメージです。相手のペナルティーエリア付近では別ですけど。だから、(三笘薫が所属し、ロベルト・デ・ゼルビが2023-24シーズンまで指揮していた)ブライトンと構造は似ているかなと思います」
ただ、論理的にサッカーをしていれば、相手も策を講じてくる。戦術的に込み入ってくるので詳細は省くが、「相手がこう来たら、次はこうする」という具合に、進化していった。
「ヘーネス監督はサッカーの構造をすごく理解していて、そのための練習をしっかりやっていました。対戦相手の分析もかなり入念でしたから。相手チームがどうプレスに来るのか、最低でも2パターンくらいイメージしておく。そこから『相手がこうプレスにきたら、ここの選手がフリーになる』という話をミーティングでして、練習で落とし込む感じでした」
そうやって、伊藤は相手の守備を崩すにはどうしたら良いのかを学んでいった。
バイエルンが「数年来追いかけてきた」伊藤の資質とは
ただ、バイエルンのスポーツ部門取締役マックス・エベールが「数年来、伊藤を追いかけてきた」と話していることからも明らかなように、彼らは伊藤の他の資質にも注目している。