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「これ動かしていいですか?」日本代表DF伊藤洋輝がインタビュー中…コップとコースターで熱弁「ヤットさんからも学べた」頭脳のナカミ
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/07/17 11:06
伊藤洋輝はインタビュー中、コップやコースターを駆使してビルドアップ時の考えを明かしてくれた
それが、最終ラインからのロングフィードだ。
ここまで触れてきた2023-24シーズンよりも前、ドイツに来てから最初の2シーズンで、ポゼッションサッカーとはかけ離れたチームのなかでも伊藤は存在感を発揮していた。
2シーズンとも残留争いに巻き込まれ、リスクを排したチームのなかで武器となっていたのが、伊藤のロングフィードである。そのデータを紹介しよう。
〈2021-22シーズン〉
ロングパス数:全体8位 ※フィールドプレーヤー最多
アタッキングサードへのパス数:全体11位
〈2022-23シーズン〉
ロングパス数:全体10位 ※フィールドプレーヤー2位
アタッキングサードへのパス数:全体3位
伊藤が最終ラインから大きく蹴り出すパスの数は突出していた。通常このデータで上位を占めるGKよりも、頼りにされていた。当時のペッレグリーノ・マタラッツォ監督のチーム作りについて、伊藤はこう振り返る。
「監督がそれをチームの武器として作ってくれたんです。自分にボールが入ったときには、前線の選手がどうやって走るかなど、トレーニングを含めてやっていました。監督がそれぞれの武器を活かしてくれる人だったので、プレーしていてすごく楽しかったし、あの2シーズンですごく成長できたと思います」
伊藤の進化のベースにはジュビロ時代がある
最初の2シーズンはリスクを冒さないロングボール主体で、最後のシーズンはポゼッションに特化した。そうした変化に順応し、進化していった。それこそが伊藤が躍進した最大の要因である。
では、それほどまで順調に成長できた理由とベースはどこにあったのか。伊藤はジュビロ磐田時代の経験を挙げる。
「(2019年8月から2020年9月末まで指揮を執ったフェルナンド・)フベロ監督の下で多くの試合で使ってもらえたことが一番大きいですかね。(当時主戦場としていた)ボランチではなくセンターバックで起用されることも多く、そうなるとフリーでボールを持てる時間が長かったので」
ヤットさんはその当時から理解していたんでしょうね
当初ボランチだった伊藤が最終ラインで起用されたときは、守備面など、足りない部分もあった。それでも、スペイン人指揮官は、伊藤は長所でチームに貢献できると考えてくれた。