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「日本人は自分の長所をわかっていない」日本とアメリカの学生スポーツ何が違う? バスケ初NCAA日本人コーチ「動画どんどん送るべき」 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byL:Getty Images /R:Asami Morita

posted2024/07/01 11:01

「日本人は自分の長所をわかっていない」日本とアメリカの学生スポーツ何が違う? バスケ初NCAA日本人コーチ「動画どんどん送るべき」<Number Web> photograph by L:Getty Images /R:Asami Morita

左:史上初めて視聴者数が男子決勝を上回ったNCAA女子決勝。右:NCAA2部ウェストミンスター大で女子バスケチームのヘッドコーチを務める森田麻文(39歳)

 日本の大学スポーツとアメリカの大学スポーツは色々な面で違いが多い。基本的なところでは、登録人数に制限があり、誰でも入れるというわけではない。また、NCAAで公式スポーツとして行われている種目は限られており、たとえば柔道や卓球はNCAAでは大学の公式チームとしては存在せず、あったとしても、どの大学でも同好会扱いだ。

 違いは、そういった、調べればわかるような組織的なことばかりではない。たとえば、と森田があげたのが、アメリカでトップレベルのアスリートに求められる「アスレティック」という概念だ。森田によると、これは日本で言う「運動神経がいい」とは少し違うのだという。

「以前、知り合いの日系人のサッカー・コーチに、日本人をもっとリクルートする気がないのか聞いたことがあるんですけれど、『日本人は頑張るし、うまい子もいるんだけど、アスレティックじゃない』って言うんですよね。確かにアメリカだと、日本で言う、いわゆる『運動神経がいい』とはレベルの違う、『アスレティックだ』という価値観がある」と森田は言う。

 その違いとは何なのだろうか?

「そのサッカーのコーチが言うには、ズドンと、ズンと行く力強さと速さが兼ね備わったらアスレティックなんだそうです。日本人は接触に対して弱いから、まっすぐ行けないっていう話をしていました」

「日本にいたら経験できない」

 確かに、どれだけ敏捷な選手でも、サッカーやバスケットボールのように敵味方が混じる競技の場合、パワーや体幹も兼ね備えていないと、アメリカでは敏捷性を発揮することすらできない。そんな状態では、どれだけ敏捷でも『アスレティック』と評価することはできないというのだ。たとえ足が速くなくても、体幹が強く、フィジカルコンタクトがある中で様々なことができる選手のほうが評価は高くなる。

「そこはたぶん、日本にいたら一番経験できないことですよね」と森田。

 日本の女子バスケットボールの試合を見ていても、その違いが目に付くという。

【次ページ】 「Wリーグのハイライトは全部ランニングプレー」

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