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「日本人は自分の長所をわかっていない」日本とアメリカの学生スポーツ何が違う? バスケ初NCAA日本人コーチ「動画どんどん送るべき」
posted2024/07/01 11:01
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
L:Getty Images /R:Asami Morita
アメリカの大学トップアスリートたちが競うNCAA(National Collegiate Athletic Association/全米大学体育協会)でヘッドコーチを務めている日本人コーチがいる。
森田麻文。ユタ州ソルトレイクシティにあるNCAA2部のウェストミンスター大の女子バスケットボール・チームのヘッドコーチだ。
1年前にウェストミンスター大のヘッドコーチに就任する前にはNCAA1部(以下、D1)の大学で9年間、アシスタントコーチを務め、練習や試合中におけるヘッドコーチのサポートはもちろんのこと、選手のリクルートや対戦相手のスカウティングなど、アメリカの大学で必要とされるコーチの仕事をすべてやってきたベテランコーチだ。カンファレンス優勝やNCAAトーナメント出場の経験もある。
NCAAにおいて日本人コーチは稀な存在で、同大の調査によると、日本出身のコーチがNCAA男子または女子バスケットボール・チームのヘッドコーチに就任するのは、NCAA史上初めてのことなのだという。
NCAAのコーチが選手に求める資質
一方、最近では、NCAA留学する日本人アスリートが増えてきた。高校野球から米スタンフォード大に進学した佐々木麟太郎が話題を集めたが、バスケットボール選手だけ見ても、2023-24シーズンにNCAA D1のチームに登録していた日本人選手は、男子が7人(うち4人が日本の高校卒業)、女子が4人(うち1人が日本の高校卒業)いた。卒業した富永啓生(ネブラスカ大)のようにトップレベルで活躍して注目された選手もいて、今後、その人数は増えていくことが予想される。
しかし、それだけ増えても、まだNCAAのコーチたちが選手にどんなことを求め、何を見ているのかはあまり知られていない。森田は、それを採用する側として知っている数少ない日本人のひとりだ。