野球のぼせもんBACK NUMBER
独走ソフトバンクに“ある噂”「年俸の査定が変わった」真相を直撃「小久保裕紀監督は驚いて立ち止まり…」柳田悠岐が離脱も強い“決定的な理由”
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/06/21 11:02
今季からソフトバンクを率いる小久保裕紀監督。独走の理由とは
そこで昨シーズン中はファーム施設の筑後でずっと使用されていたのだが、昨年二軍監督を務めていた小久保裕紀監督は「若手に使わせたら、確実に空振りが減った」と実感していたという。そんな経緯もあり一軍監督に就任してすぐの昨年の秋季キャンプから一軍主力選手にもアイピッチを活用した打撃練習を課すようになった。するとプロの適応力はやはりすごく、初めの頃は打撃練習で空振りや打ち損ないを連発していたのが少しずつ減ってきたのだ。現在では一軍のアーリーワークや試合前のバント練習でアイピッチが使用されている。
「でも、それ以上にね…」首脳陣の声
つまり、難しい球を打てるということはボールの見え方が良くなっているわけで、四球増にもつながっているのではないかと推測した。一軍打撃を担当する村上隆行コーチ、村松有人コーチに話を聞くと両名とも「その効果を信じていますよ」と笑顔で頷く。
「でも、それ以上にね」
ADVERTISEMENT
首脳陣が考える四球増の一番の理由は、選手たちの意識の変化だという。
「最初からフォアボールを狙えとは言っていません。追い込まれるまでは好球必打。ストレートは一発で仕留める。その中で追い込まれた後に“2ストライクアプローチ”があります」
2ストライク後の打撃については今季から明確な数値目標が示されている。「2ストライク後の三振率は40%以内」。あっさりと打席は終わらせない。泥くさく、しぶとく。「チームのルール」として選手たちに求めた。
逆に、選手も「首脳陣の野球観」は気になるもの。ましてや新監督となれば尚更だ。
小久保監督の“選手操縦術”
そこで思い出したのが今年2月24日、春季キャンプ中に行われた最初の対外試合のこと。小久保監督の初采配、15安打11得点で圧勝したゲームだった。一番盛り上がったのは3回裏の攻撃で3番・柳田の適時二塁打で追いつき、4番・山川の勝ち越し2ランで一挙5点を奪って逆転に成功。その試合後、小久保監督は報道陣の前で試合をこのように総括した。
「今日のポイントは(3回、2番打者の)2打席目の今宮(健太)のフォアボールです。つなぐ選手と返す選手がはっきりと分かれている打線の中であそこの今宮のフォアボールが大量点につながった」
オープン戦が始まってからの3月14日の巨人戦でもやはり、初回に柳田が先制3ラン本塁打を放ったのだが、小久保監督は試合後の取材の中で「今日の打線の中では今宮のフォアボール」というコメントを残している。
何人かの選手に取材をすると小久保監督の談話が載った記事は目を通すと答えたから、そのあたりの“選手操縦術”も絶妙と言えるだろう。
「年俸の査定が変わった」噂
また、取材を進める中で興味深い話を耳にした。
「今年は年俸の査定ポイントが変わっている」