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松井稼頭央が何度も「あと1本が出ない…」打率ダントツ最下位、西武ライオンズ「若手打者が育っていない問題」 打撃コーチは「難しいこと言ってないので」
text by
中島大輔Daisuke Nakajima
photograph byJIJI PRESS
posted2024/06/05 11:02
松井稼頭央監督が今季、苦しめられ続けた「貧打」。過去には強力打線を形成した西武が、今の状態に至ったのは、構造的な要因もある
「ライオンズのコーチは選手の理想をある程度尊重し、アドバイスやサポートしてくれるように感じます。最初から『お前はこういうタイプだから』と言われて変えるのと、自分で感じて変えるのは全然違いますよね。ライオンズには、そう感じさせてくれる環境があると思います」
まずは選手の思うように取り組ませ、それでうまくいかなければコーチが絶妙に手を差し伸べる。それが西武の伝統だったが、いつしか歯車が狂い出した。西武の球団関係者が現状をこう指摘していたのが強く印象に残っている。
「“若手野手が育たない”のではなく、“育たなくなった”んです。以前は秋山や山川、森のように強く振りにいく中でボールを見極めることが自分自身でできていたけれど、今の選手は強く振るだけになっている」
つまりアマチュア選手のスカウティング、あるいは育成に問題が生じているのではないだろうか。
今の西武打者に多い傾向
“松井ライオンズ”で象徴的だった一戦が、10安打を放ちながら2得点に終わり、2-13で敗れた5月10日の楽天戦だ。試合後、嶋重宣打撃コーチはチャンスでの弱さを嘆いた。
「去年もそうでしょ? なかなか得点圏であと1本……というのが多かったと思うんです。確かに得点圏では配球の違いもあります。けれども相手もピンチなわけで、コースか、球種か、打ちにいくゾーンをしっかり明確にする。ピンチでは、そういうパターンが相手にもいろいろ出てくるので。(今の西武には)ファーストストライクを打ちにいけない選手が多いとか、変化球のボールゾーンを振らされていることもありますからね」
打撃コーチが常々話していること
打者が積極的に仕掛けられないのは、技量の問題か。そう問うと、嶋コーチは「でも、そんなに難しいことは言ってないので」と続けた。