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松井稼頭央が何度も「あと1本が出ない…」打率ダントツ最下位、西武ライオンズ「若手打者が育っていない問題」 打撃コーチは「難しいこと言ってないので」
text by
中島大輔Daisuke Nakajima
photograph byJIJI PRESS
posted2024/06/05 11:02
松井稼頭央監督が今季、苦しめられ続けた「貧打」。過去には強力打線を形成した西武が、今の状態に至ったのは、構造的な要因もある
「周りがね、口で言うのは本当に簡単なんですよ。『我慢しろ』『若手を使え』とか、『ああせい』『こうせい』。でも、使う方は我慢するってどれだけしんどいか。監督なんてしんどいと思いますよ」
前監督の功績は何だったのだろうか
松井前監督はどんなに苦しい敗戦を重ねても、メディアの前で選手を悪く言うことは絶対になかった。自分の中で我慢し続けた一方、チーム状況が改善されることなく、2024年5月26日、15勝30敗という結果の責任を負って休養に至った。
果たして、松井前監督が残した功績は何だったのだろうか。5月26日の就任会見で問われた渡辺GM兼監督代行はこう答えている。
「松井監督は私自身が楽天から引っ張ってきました。ずっとファーム監督からしっかり選手に寄り添ってやってくれてました。松井監督をすごく慕っている選手もたくさんおります。その中でやはり、勝負となると勝負の厳しさも当然入ってきますので。ここはしっかり選手とコミュニケーションを取りながら、やはりゲームになったら『絶対やっつけてやる』ぐらいの気持ちを前面に見せてやっていきたいなと。私自身も負けるのが嫌いな性格なので、試合になったら気持ちが入っていくタイプなので、選手もそれについてきてほしいと思います」
松井前監督が最後に伝えた「勝負の厳しさ」
裏を返せば、松井前監督には勝負に徹する厳しさが足りなかった。それが球団の評価だろう。
結果的に松井前監督は、自分が去るという形で勝負の厳しさを選手たちに知らしめることになった。球団のレジェンドを“休養”に至らせた張本人である選手たちは、一軍で戦う厳しさが改めて身にしみたはずだ。
果たして、西武は巻き返しに向けて変わっていくことはできるか。そして球団にとって極めて厳しい時期を任された松井前監督の功績を、どう未来につなげていくのか。
それらはすべて、今後の戦いぶりに懸かっている。