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ボクシングPRESSBACK NUMBER
“井上尚弥vs中谷潤人”は実現するか? あのネリ戦を目撃した中谷本人が明かす「モンスターへの本音」 弟・拓真との統一戦を熱望する理由
text by
森合正範Masanori Moriai
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/05/31 17:03
「井上尚弥vsルイス・ネリ」東京ドームの激闘を現地で観戦した中谷潤人にインタビューを実施した
井上戦実現には「まだやることがたくさんある」
井上の逆境や劣勢になったときの対応力。相手のペースになってから奪い返す力。ネリ戦であらためて痛感し、東京ドームを後にした。
では、中谷陣営が意識し始め、ファンの期待が高まりつつある井上尚弥戦へ、どうすればたどり着けるのだろうか。
「まだやることがたくさんあるんで、具体的にはイメージしていないですけど、統一戦だったり、大きい試合が必要だと思う。それをしっかりクリアして、評価を上げていけば見えてくるかな」
中谷の戦績は27戦全勝20KO。昨年5月、米ラスベガスでのWBO世界スーパーフライ級王座決定戦では、アンドリュー・モロニー(オーストラリア)を最終12回に左のカウンターでKOした。衝撃の一撃は、米スポーツ専門局ESPNや米興行大手トップランクの年間最優秀KO賞などに選出され、世界的な評価が急速に上がってきた。
2024年4月、中谷は米老舗専門誌「ザ・リング」が選定する全階級を通じた最強ランキング「パウンド・フォー・パウンド」(PFP)で初めて10位にランクされた。ロサンゼルスと日本を行き来する中谷は「ザ・リング」の価値を分かっている。
「素直に嬉しいですね。やっぱり歴史がありますし、そういったところに名前を入れてもらうのは光栄ですね。大きい目標として、PFP1位っていうのを目指しているんで。期待値がだんだん上がってくると思うので、その期待を上回れるような、より良いパフォーマンスを、という気持ちになります」
井上拓真とのバンタム級統一戦を熱望する理由
現在、バンタム級はWBCが中谷、WBAが井上拓真、WBOは武居由樹、IBFは西田凌佑と日本人王者が独占する。なかでも中谷が統一戦を熱望するのが井上尚弥の弟・拓真だ。
それは拓真を倒して尚弥へ、というストーリーを思い描いているのではない。純粋に一人のボクサーとして拓真を高く評価しているからだ。
「キャリアもあるし、実力もすごくある選手。評価はすごくあるなっていうところです。(尚弥戦へ)繋がってくればいいなくらいで、バンタム級で評価のある選手とやれば、おのずと評価をもらえると思う」
中谷は「評価」という言葉をよく使う。目標の試合を実現させるため、PFP1位を目指すためには、数字だけではない、目に見えない「評価」が必要になる。それは「誰と闘ったか」であり、「どのように勝ったか」に行き着く。
「やっぱりノックアウトというのは見てもらっている人たちにもすごくわかりやすい。もちろんそれだけがボクシングじゃないんですけど、分かりやすく評価をもらえるというところで大事かなと思っている。KOは意識しますね」