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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「(井上尚弥戦は)楽しみにしてもらえれば」東京ドームで観戦した中谷潤人が語る、“井上の特別な能力”「ネリは何もできない状況だった」
posted2024/05/31 17:02
text by
森合正範Masanori Moriai
photograph by
Kiichi Matsumoto
それはこれまで練習中に聞いたことのない名前だった。
「イノウエと闘うときには、こういうことも必要になってくるからな」
2024年2月のバンタム級初戦に向けた米ロサンゼルス合宿。中谷潤人はトレーナーのルディ・エルナンデスの言葉に耳を傾けながら、奮い立ってくるのが分かった。「イノウエ」とは井上尚弥を指していたからだ。
「イノウエとやるんだ! ということではなく、イノウエとやるときには、という想定の話だったんですけど、気持ちが昂ぶってくるのを感じました。しっかり習得して、技術を身につけて上がっていかないと、って思いましたね」
バンタム級に上げる中谷。スーパーバンタム級で4団体統一王者の井上。その差は1階級。将来の現実的なターゲットとして、視界に入った瞬間だった。
拡大する「井上戦が見たい」という期待感
中谷はバンタム級初戦で、ノニト・ドネア(フィリピン)を破ったWBC世界王者アレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)に6回TKO勝ち。過去36戦でKO負けのなかった王者を強烈な左ストレートで倒し、立ち上がってきたサンティアゴを連打で仕留めて3階級制覇を成し遂げた。
圧巻のTKO勝ちで試合を終えると、ファンや周囲から「井上戦が見たい」という声と期待感が伝わってきた。
「バンタム級の1試合が終わって、そういう声を多くいただきました。やっぱり階級が近くなってきたというのもあるし、(階級を)上げるスピード感もある。今回上げてから、よく声をもらうなと感じますね」
WBO世界フライ級王座を2度の防衛で返上し、WBO世界スーパーフライ級王座にいたっては初防衛を済ますとバンタム級へ。速いスピードで階級を上げている。身長172センチの中谷は「バンタム級という意識をなくせば(ウエートが)増えていっちゃう」と言うほどで、今後も階級を上げていくことは必至。いずれ、井上と同じ階級になる日も来るだろう。