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「これは宇野ならではの言葉だ…」涙ゼロ、報道陣も笑顔に…宇野昌磨(26歳)の“爽やかすぎる引退会見”を現地で見た「自分をほめたいなと思います」
posted2024/05/15 17:02
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Takuya Sugiyama
紹介を受けて会場に姿を見せたときの、どこまでも晴れやかな表情がすべてを表しているようだった。
5月14日、フィギュアスケーター宇野昌磨が引退会見を行った。
「このたび、私はフィギュアスケート選手を引退することとなりました。今日まで応援してくださった皆さん、ほんとうにとても感謝をしていますし、また今後スケートという道を続けていくことに変わりはないので、引き続き応援してくれるとうれしいかな、と思います」
「引退を考え始めたのは2年前」
YouTubeチャンネル「トヨタイムズスポーツ」でもライブで中継された会見は、冒頭での挨拶を皮切りに、前半はインタビュー形式、後半はメディアとの質疑応答という構成で行われた。
後半は引退の決断に関連する質問から始まった。いくつか尋ねられる中で、宇野はこう答えた。
「引退自体を考え始めたのは2年前ぐらいでした。ただそこから自分が引退する姿というのはなかなか想像できない中で、もちろん全力でスケートに取り組んできたんですけれども、それからいろんな経験をし、今に至るという形ではあります」
「コーチに伝えた時期に関しましては、全日本選手権が終わったタイミングで、ステファン(・ランビエル)コーチにこの次の大会(今年3月の世界選手権)で引退しようというのをお伝えさせていただきました」
清々しく言い切った「未練は正直まったくない」
「いい成績を残してやるぞ、という強い気持ちで競技をやってきたというよりも、毎日ベストを尽くす、そして目の前の試合を全力でいちばんいいものにするという気持ちでやってきました。世界選手権を優勝したときに、もちろん引き続き頑張るという感じは変わりませんでしたけれども、ゆづ君(羽生結弦)の引退だったりネイサン(・チェン)の引退もあり、ずっとともに戦ってきた仲間たちの引退というのを聞いて、なんかすごく寂しい気持ちと取り残されてしまったという気持ちもありましたし、そういったところから自分も考えていたのかな、と思います」
2年後にはミラノ・コルティナダンペッツォ五輪が控えているタイミングでの引退について尋ねられるとこう答えた。
「未練というところに関してなんですけれども、正直まったくないです」
簡潔、そして明瞭な言葉だった。