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「これは宇野ならではの言葉だ…」涙ゼロ、報道陣も笑顔に…宇野昌磨(26歳)の“爽やかすぎる引退会見”を現地で見た「自分をほめたいなと思います」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/05/15 17:02
5月14日、都内で行われた宇野昌磨の引退会見
「これは宇野ならではの言葉だ…」涙は一切なかった
宇野は思い出に残る光景をこう語っている、
「やっぱり世界選手権で初めて優勝した後のステファンが喜ぶ姿というのは、すごく自分にとって記憶に残る、鮮明に記憶に残る思い出かな、と思います」
周囲を喜ばせたいといつも思い続けてきた宇野ならではの言葉であったし、宇野昌磨というスケーターの、人間の、一面を示していた。
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競技生活にピリオドを打ち、新たに取り組むことを探していくビジョンを伝える宇野は、スケーターとして目指していく先も示した。
「自分が全力を出したい、そして日々楽しいって思えるプログラムを作って、自分の感情が前のめりに出てくるようなプログラムを皆さんにまずはお披露目できたらなと思っていますし、そういった先に、これやらなきゃ、ではなく、やりたいという気持ちから表れる素晴らしいプログラムが今後つくれるんじゃないかなってわくわくしています」
「やりきった」と言い切れるまでに長年にわたって全力を尽くしてきた人ならではの決断、そして明確な言葉にあふれた会見には、一切、涙はなかった。
訪れた数多くのメディア、関係者を含め、そこにあったのはどこまでも和やかであたたかな空気と、笑顔だった。
(撮影=杉山拓也)