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“打てる捕手”だった巨人・阿部慎之助監督の高いハードル…大城卓三が“正捕手”の座を奪われた理由「岸田行倫や小林誠司の振る舞いを勉強して欲しい」 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2024/05/06 17:12

“打てる捕手”だった巨人・阿部慎之助監督の高いハードル…大城卓三が“正捕手”の座を奪われた理由「岸田行倫や小林誠司の振る舞いを勉強して欲しい」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

打てる捕手として首位打者や打点王も獲得した巨人・阿部慎之助監督が課す正捕手へのハードルは高い?

 そうして厳しい批判を浴びながらも、経験を積み重ね、捕手・阿部慎之助は配球だけでなく捕手としての素養、振る舞い、発言などを学び、吸収することで成長していった。同時に捕手という重労働をこなしながら、バットでも首位打者、打点王など数々の打撃タイトルを手にした。捕手として4番としてキャンプテンとして、巨人だけでなく、日本代表を引っ張る存在へとなっていったのである。

 そういう経験があるからこそ、大城に対する阿部監督のハードルは高い。

 大城は昨年は125試合で先発マスクを被って正捕手としてのポジションを確立。打率2割8分1厘、16本塁打をマークし“打てる捕手”として存在感を示してきた。阿部監督も就任当初から正捕手としての期待を寄せ、開幕から5試合連続で先発マスクを被らせたことがその証でもあったはずだ。

捕手3人体制へ

 ただ開幕6試合目の中日戦で“スガコバ”コンビが復活。そこで小林誠司捕手が見事に菅野智之投手の再生を手助けするリードを見せると、その後は岸田行倫捕手を加えた3人体制で捕手を回していく戦いが続いている。

 今季32試合を消化した5月5日時点で大城が先発マスクをかぶったのは14試合。その時のチーム成績は6勝8敗と2つの負け越しだ。一方、小林は11試合で7勝2敗2引き分け(ちなみに岸田は7試合で2勝4敗1引き分け)と、小林の先発勝率の高さが目を引く。菅野の再生でも分かるように、球種の多い投手でも真っ直ぐを軸にしながら勝負球を使い分けて変化球の力を引き出していく。チーム得点が下がって、接戦を凌ぎ勝つという今の巨人の勝利パターンでは、小林の投手の力を引き出すリードが重用されるのは当然といえば当然なことなのだ。

 ソフトバンクから移籍してきた高橋礼投手が、小林と初コンビを組んだ際に「カーブとかを何球か使ってくれたり、そこで真っ直ぐ突っ込むんだみたいな、誠司さんだから突っ込めるというのもあると思う」と独特な配球を絶賛していた。断っておくが、これは大城の配球がダメだと言っているのではない。2人のコンビでも2試合連続で6回無失点の好投をみせ「大城の配球も1つのパターンとしてある」と高橋は語っている。ただ、小林の配球を含めた投手を引っ張っていく捕手としての立ち居振る舞い、ポテンシャルの高さはピカイチで、そこに移籍組の高橋も驚いている訳だ。

大城が正捕手の座を奪われた理由

 だから阿部監督は大城を先発から外す理由をこう説明する。

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