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明徳義塾で衝撃の事実「iPad、みんな使ってますよ」馬淵史郎が明かす“ウワサと違った”100人超え寮生活の実態「来たことない人が想像で書く」 

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井上幸太

井上幸太Kota Inoue

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posted2024/04/27 11:04

明徳義塾で衝撃の事実「iPad、みんな使ってますよ」馬淵史郎が明かす“ウワサと違った”100人超え寮生活の実態「来たことない人が想像で書く」<Number Web> photograph by Kota Inoue

高校野球の強豪・明徳義塾。「陸の孤島」とも言われるが、実態は…?

「やっぱり社会性(を養うこと)よね。今はわがままなやつが多いから。野球をして、寮で共同生活をして、自分ひとりじゃないんだと知ってほしいよね。面倒くさいことをやりたがらんやつが多いけど、野球なんて、初回から9回まで面倒くさいことしかないんやから。あとは親への感謝とかね。親がグラウンドに来たとき、雨が降っとったら傘を差したり、重たい荷物を代わりに持ったりするようになって、感動したりね。そういうことを明徳で覚えるんでしょうね」

 iPadの使用にも「消灯時間まで」という厳密なルールはあるし、コンビニで自由に買い食いすることも許されていない。自宅通学のチームに比べれば、我慢する場面は依然として多い。だが、そうした環境だからこそ醸成される意識があると、馬淵監督は言う。

「寮生活をしてるから、『明徳は競ったときに、通いのチームには負けん』って思えるんです。今も昔も。……まあ、最近は競って負けとるから情けないんやけど(笑)」

 2010年から8年連続の夏の甲子園出場など、時に“異様”とすら感じる勝負強さは、グラウンドだけでなく、色々な制限のある寮生活で磨かれていくのは間違いない。

「変化と不変」「情と非情」のバランス

 

 当初の約束だった30分を超える“馬淵節”を堪能している傍らで、徠空が再び打撃練習で汗を流す。打撃投手を務めるコーチからは、「一回の空振りでビクビクする必要はない!」とゲキを飛ばされていた。指揮官が、入学から今までの徠空評を語る。

「練習はいたって前向きですよ。向上心もあるしね。ハマったときはすごい打球打つけどねえ……。ハマるときが少ない。最後の夏もカギは握っとるよね。あいつが打てばという。どっちみち警戒されるんだろうけど、そこで失投をとらえられるかだね」

 この後も、「本当はもっとプロのスカウトが見に来るぐらいになっとらんといけんのやけど……」と、辛口評価が続いたが、不調の時期があっても1年秋から4番に据え続けているのは期待しているからこそ。部のルールを柔軟に変えてきたのと通ずる、馬淵監督の“情と非情”のバランス感覚を感じずにはいられなかった。

〈第1回「越境入学で子と離れた“母の本音”」からつづく〉

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