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涙の大阪桐蔭“テレビに映らない”ウラ話「ほんとのほんとのことを言うと…」西谷浩一監督の口調が変わった“ある質問”…主将も本音ポツリ 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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posted2024/03/29 17:03

涙の大阪桐蔭“テレビに映らない”ウラ話「ほんとのほんとのことを言うと…」西谷浩一監督の口調が変わった“ある質問”…主将も本音ポツリ<Number Web> photograph by KYODO

センバツで報徳学園に敗れた大阪桐蔭

 これまで絶対王者である大阪桐蔭の野球に笑顔のイメージはなかった。だが昨夏、「エンジョイベースボール」を掲げる慶応高校が優勝したように、高校野球に新たな価値観が流入し、広まりつつあることも確かだ。

キャプテン語る“笑顔の意図”「誤魔化すというか」

 西谷の言葉をできる限り忠実に主将の宮本真司郎に伝えた。すると、この試合と同じく先制されて負けた秋の明治神宮野球大会の初戦を振り返りつつ、どこか怒ったような顔をして言った。

「神宮大会のときは先制された後、下を向いてしまう選手が多かった。なので、今日も苦しい展開になって、明るくじゃないですけど、気持ちを上げていった方がいいと思った。中野に関しては、そういう気持ちでいくピッチャーですし、ベンチとしても楽しんでいこうという声がけをしていた。ただ、まだまだ力がないから、誤魔化すというか、そういう部分もあったと思うんで」

 気持ちを誤魔化さないようになったら、ベンチの雰囲気は自然と変わるものなのか。そう問うと、宮本は前言を撤回した。

「誤魔化していたっていう言い方もおかしいのかもしれないですけど……。秋に負けて、これが今の僕たちのベストの雰囲気だと思ったし、みんなも思っていたと思うんです。でも、その雰囲気で負けちゃったんで。また、改善したいと思います」

 宮本は指揮官の注文に困惑しているようにも映った。

 おそらく西谷が言う「本当の強さ」と選手たちが考える「野球を楽しむこと」は矛盾しない。しかし、ゲーム後、西谷の言葉と選手の言葉には小さな齟齬(そご)が生じていた。

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