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大谷翔平の一件は…「もはや『スポーツ界だけの話』ではない」会見に100人以上が集結 在米“非スポーツ部門”の記者が見た「大谷狂騒曲」のリアル
posted2024/03/30 17:02
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph by
Nanae Suzuki
3月25日(日本時間26日)にドジャースタジアムで行われた大谷翔平の記者会見には、日米合わせて100人を超える報道陣が集まった。
オフィシャル以外のカメラ撮影は禁止だったためカメラマンは入室しなかったものの、大半の記者は会場に用意された椅子には座りきれず、立ったままだった。会場にはドジャースのスタン・カステン球団社長をはじめ、球団幹部やデーブ・ロバーツ監督、ジョー・ケリー投手ら一部選手の姿もあった。
「会見には100人以上記者がいて、運動部だけでなく社会部や政治部の記者も多かった。前日に会見について問われた際に『トゥモロー』発言を本人がしたものの、球団からは日時や会見内容などの公式発表がなく、ギリギリまで全容がよくわかりませんでした。当日の試合の取材申請をした社にバラバラと会見時間の連絡が来るなど、当日までバタバタの中での会見でした」
こう大谷の会見を振り返るのは、ロサンゼルスで働く社会部記者だ。実際には当人が声明を発表する形で質疑応答はない12分ほどの会見だった。
すでに事態は「スポーツ」のフィールドを超えた話題に
現地のテレビ報道では、いまでもトップ級に近い扱いで今回の事件が報じられているという。
これまでも日米含め多くのメディアの注目を集めてきた大谷ではあるが、今回の“事件”はこれまでと毛色が異なる。最大の違いは、会見に社会部や政治部の記者まで取材に訪れていることからも分かるように、アメリカで「スポーツ」の枠を超えた出来事として受け止められていることだ。
会見を受け、前出の記者が続ける。
「ロサンゼルスでも野球ファンやスポーツメディアは『話せることは話した』と大谷選手の会見をある程度は評価しています。ただ、その一方ですでに多くの米紙が報道しているように、『通訳の水原(一平)氏がどうやって大谷選手の口座から送金できたのか』という疑問は残っています。そこの追及は緩めず、淡々と問題点を指摘している感じです」
日本ほどアメリカの世論が「大谷擁護」に流れない理由のひとつに、現在の野球という競技そのものの立ち位置も大きく関わっているという。