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甲子園の風BACK NUMBER
大谷翔平が卒業“進学校ではない”花巻東から東大合格者、スタンフォード…なぜ逸材続出?『ドラゴン桜』作者が語る佐々木洋監督「ある強み」
posted2024/04/04 11:01
text by
柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph by
L)Nanae Suzuki, R)JIJI PRESS
――三田先生は高校野球漫画も描かれていますし、高校球児への取材経験も豊富です。菊池雄星や大谷翔平とも交流があります。これまで出会ってきた球児と比べても、高校時代に140本塁打を放った麟太郎選手には特別な印象を抱いていますか。
三田 個人的な感想ですが、わりと普通、なんですよね(笑)。これまでも甲子園で活躍したスーパースターを、その年の秋や冬にインタビューする機会がありました。たとえば、斎藤佑樹さんとかですね。彼らと比べても、麟太郎君が飛び抜けた発想を持っているとか、奇抜で他の球児とは違うなとか、そういう印象はないんです。受け答えもいたって普通ですからね。
花巻東はいつから変わったのか
――先生は度々、花巻東の球児を「良い意味で田舎っぽさが残っている」と話されていますが、麟太郎選手もそうした垢抜けない印象をお持ちですか。
三田 まあ、そうですね。ただ、花巻東も昔と比べれば相当に“進化”しているんですよ。江釣子村(現北上市)の出身で、黒沢尻北高校から国士舘大に進み、横浜隼人でコーチを務めていた佐々木洋さんが2002年に監督に就任し、2005年夏に甲子園に出場した。その頃は、「岩手では勝てるかもしれないけれど、甲子園(全国)では勝てないだろうな」という印象だった。相手からしたらぜんぜん怖くないんですよ。ノーアウトでランナーが出たら、バントで送ってヒット一本に期待するんだけど、そのヒットが出ないから1点も入らない、みたいな(笑)。強豪校からしたら付け入る隙の多い野球だった。当時、私も日刊スポーツでそのような批評を書いて、佐々木監督もそうとう頭にきたみたいですけどね。
――その後、2009年春のセンバツで、菊池雄星を擁して準優勝を果たしました。田舎の野球から脱却したきっかけはあったのでしょうか。